引き運動で調整されたアスコリピチェーノ(カメラ・高橋 由二)
◆第42回マイルCS・G1(11月23日、京都競馬場・芝1600メートル)=20日、栗東トレセン
東西のトップマイラーに英国馬も参戦するマイルCS。「考察」キーポイント編では、栗東滞在で調整を続ける
アスコリピチェーノのハード調教を取り上げる。
1週前追い切りの後に、黒岩調教師が「毎日(坂路で)15―15を2本乗っていますし」と、涼しい表情で言ったことが印象的だ。
栗東入り後から先週までの調教履歴をさかのぼると、CWコースで追い切った日とその翌日以外は、確かに必ず坂路を2回上がっている。日曜は坂路→CWコース。5ハロンから追い、ラスト1ハロンで11秒8をマークした日もある。なかなか類を見ない強度だ。
担当の鈴木助手によれば、この調教メニューは美浦でもこなしており、取り入れたのは今年から。ヴィクトリアマイルの前から時計も速めていったという。それでも、脚元の不安やダメージの蓄積はなし。鈴木助手は「ここまでやる牝馬はいないですよね。それに耐えられる体になってきました」と目を見張る。
思い返せば、阪神JFで栗東に滞在していたときもかなり負荷をかけていた。CWコース7ハロンの併せ馬を3週連続。2歳牝馬にしてはハードだな、と驚いた記憶がある。そこから約2年がたち、追い切り日以外もびっしり乗り込む“
スーパーウーマン”に進化を遂げた。今回人気を集めるであろう
ジャンタルマンタルにはNHKマイルCで2着に敗れ、
ソウルラッシュとは初対戦。だが、この調教が実れば牡馬にも負けないはずだ。(水納 愛美)