20日はCWコースでキャンター調整したヴェラアズール
◆第64回宝塚記念・G1(6月25日、阪神競馬場・芝2200メートル)
早々と
ターゲットを定めた。
ヴェラアズールは前走のドバイ・ワールドCで13着と大敗を喫したが、5月初めにはここへの参戦を表明した。「遠征の疲れはないですね。ドバイも体調はすごく良かったんですがね」と渡辺調教師。体調面に不安がないからこその決断だった。
母ヴェラブランカはきょうだい3頭がG1・3勝を含む重賞計7勝。特にフサイチホウオー、
アヴェンチュラがそれぞれ重賞3連勝、2連勝という形でタイトルを積み重ねた。「脚元の関係でダートを使っていましたが、芝で活躍している馬が多い血統」。
ヴェラアズールも昨春から芝に投入され、6月からは常に上がり33秒台の脚で
ジャパンCまで重賞2勝を含む3連勝。偉大な血の力を感じずにいられない。
ただ、先述の重賞7勝はすべて2、3歳時。成長力に疑問符はつくが、奥行きを与えるのが
ヴェラブランカの父クロフネだ。ブルードメアサイアーとしてのJRA平地重賞36勝中20勝、直子の同43勝中21勝を、古馬が挙げている。自身は故障により3歳で引退したが、そのDNAは使うたびに輝きを増す。
渡辺師も
ヴェラアズールの昨年の快進撃をこう振り返る。「ひと夏を越してからグンと良くなって、(秋初戦の)京都大賞典は自信がありましたよ。ただ、あれほど強いとは思っていませんでした」。高い芝適性と成長曲線が重なり合った本格化は勢いだけではない。経験値を加えた姿で、本来の走りを取り戻す。(山本 武志)