9月3日に新潟競馬場で行われる新潟記念(3歳上・GIII・芝2000m)。夏を締めくくるレースにサリエラ(牝4、美浦・国枝栄厩舎)が出走を予定している。
サリエラは父ディープインパクト、母サロミナ、母の父Lomitasという血統。母は独オークス馬で、きょうだいには朝日杯FS覇者サリオス、有馬記念2着のサラキア、3歳時に小倉芝1800mのコースレコードを更新したエスコーラなど。自身もデビュー戦を勝利で飾ると22年ローズSで2着、23年目黒記念3着と重賞で存在感を示している。通算成績は5戦3勝。
なぜこのきょうだいはここまで活躍しているのか、強さの秘訣を見出すために今回は彼女らが属する「Sライン」について触れたい。
「Sライン」とはドイツの歴史的名牝シュヴァルツゴルト(Schwarzgold)を祖とする牝系のこと。同馬は現役時代、独1000ギニーや独オークス、独ダービーを大差圧勝するなどの活躍をおさめた。13歳でこの世を去ったものの、名繁殖牝馬としても大活躍。現在日本で活躍しているドイツ牝系の大半を占めているといっても過言ではない。
同ファミリーの中でも日本で特に知られているのはサンタルチアーナ(Santa Luciana)のライン。サンタルチアーナの仔には、マンハッタンカフェの母サトルチェンジとビワハイジの母アグサンの姉妹がいる。後にビワハイジはブエナビスタ、ジョワドヴィーヴル、アドマイヤオーラなどを送り出した。
サリエラの属するザルデ(Salde)の一族は、先述したきょうだいの他に独オークス馬セリエンホルデ、NHKマイルC覇者シュネルマイスターを輩出。別ファミリーには海外G1・6勝の名牝スタセリタがおり、日本で活躍するソウルスターリングやスターズオンアースも同牝系にあたる。
日本で枝葉を伸ばす「Sライン」がいかに名牝系であるか、お分かりいただけただろうか。これからも活躍馬が誕生するであろう一族の活躍を楽しみにすると共に、今週初重賞制覇を狙うサリエラには是非注目したい。