余裕のある走りで、ラスト11秒7をマークしたナムラクレア
◆スプリンターズS追い切り(9月27日、栗東トレセン)
第57回スプリンターズS・G1(10月1日、中山)の出走馬が27日、東西トレセンで追い切られた。重賞4勝のス
プリント戦で悲願のG1初Vを目指す
ナムラクレアは、栗東・坂路でラスト11秒7の切れ味。前走も現地取材した水納愛美記者が心身の成長を「見た」。
さすが、のひと言だ。
ナムラクレアは栗東・坂路で無駄な力を入れることなく、とにかく軽快に駆け上がった。騎乗した長谷川調教師の手綱はほとんど動いていない。「そこまで速い時計ではないな」と思いながら、モニターを確認した。ところがラスト1ハロンは11秒7。無意識に「おおっ」と声が出た。終始余裕ある手応えのまま、しかも単走でこのラップ。ただ者ではない、と再確認した。
長谷川調教師は、この日のテーマを「体調の確認と、とにかく気負うことなくリズム良く」と設定していた。スムーズに四肢を動かし、
バランスも一切乱さなかった様子を見ると、満点評価をつけられる。指揮官の「緩急もつきましたし、芯が入った走りをしてくれたので、これならいい状態で向かえると思います」という言葉にも、手応えがみなぎっていた。
現地で取材した前走のキーンランドCは強烈な記憶だ。当日は午後から豪雨。大人が怖がるほどの雷鳴まで響いていた。11R頃には雨は上がったが、内の馬場はやはり荒れたまま。それでも外の14番枠を生かし、大外から豪快に抜け出した。「タフな状況の中で彼女の持てる力をしっかり示してくれた」と指揮官が振り返る通り、心身両面で強さを示した一戦だった。
昨年は5着で、今年の高松宮記念は2着。既に力は証明しており、あとはG1馬の称号を手に入れるだけだ。「彼女がしっかり力を出し切れるレースさえしてくれれば、と思います」と長谷川師。この充実ぶりなら、待ち望んだス
プリント女王の座へ向け、不安は何もない。(水納 愛美)