2歳女王決定戦「第75回阪神ジュベナイルフィリーズ」の最終追いが6日、行われた。美浦では前走・アスター賞(中山)を2歳コースレコードで圧勝した
キャットファイトがキレキレの動き。ダート色が濃い父ディ
スクリートキャットから出現した芝の切れ者。11月の
オーストラリア・
ゴールデンイーグルで約5億円を獲得した同産駒
オオバンブルマイの父の勢いに加え、先週チャンピオンズCを制した
レモンポップと同じゴドルフィンの青の勝負服。強力な追い風が吹いている。同レースは7日に出走馬が決まり、枠順が発表される。
一体、どれだけの可能性を秘めているのか?
キャットファイトの体はコンパクトサイズでも、潜在能力は超A級。主戦・大野が騎乗した最終追いは圧巻だった。Wコースで
クリーンエア(2歳1勝クラス=朝日杯FS登録)と併せ馬。4馬身追走から内に入り、手綱を抑えたままで6F(1200メートル)82秒7〜1F(200メートル)11秒4で楽々と半馬身先着。弾むような弾力感。アクションを起こしていれば、確実に突き抜けたド迫力だった。
大野は「動きは良かったです。
テンションの方もちょっとピリピリしていて、いい仕上がり具合。前走(アスター賞)の時はグンと上がった感じでしたが、今回はいい意味で変わっていません」と笑顔で切り出した。
底知れぬ成長力。前走アスター賞は鞍上が言う通り、急激に進化していたのだろう。想像を超えた圧勝に誰もが驚いた。好位インで脚をため、中山の急坂で音を立ててギアを上げた。5馬身差圧勝で1分33秒1!!
マイネルレコルトが04年朝日杯FSで樹立した2歳コースレコード(1分33秒4)を実に19年ぶりに塗り替えた。鞍上は「引っ張ることが少ない2歳戦なので時計が出ることもありますが、その中であの脚を使えたのは良かったです」と収穫を感じている。
父ディ
スクリートキャットは現役時、06年UAEダービー、
シガーマイルH(米G1)を制したダート型。さらに母の父はパイロ。一見、砂が良さそうな配合から、とんでもない切れ者が現れた。今年5月、20歳で病死した父の産駒は先月の豪
ゴールデンイーグル(芝1500メートル)の優勝で約5億円を獲得した
オオバンブルマイ(牡3=吉村)が大仕事を成し遂げたばかり。上原博師は「体もそう大きくないし、
スピードタイプ。まずは芝からと思っていました」と芝適性を発掘した。鞍上も同意見。大野は「馬場が軽ければ、対応できるタイプ。ちょっとタフになって、
パワー寄りになるとつらい。先週の阪神のような芝なら…。瞬発力があるので阪神外回りはいいと思っています」と力を込めた。2戦目の新潟未勝利戦(1着)では外回り659メートルの長い直線も、長距離輸送にも機敏に対応した。子供っぽさを残していた6月東京新馬戦(6着)を含め、全3戦が実になってきた。
先週のチャンピオンズC(中京)では同じゴドルフィンの青の勝負服を身にまとった
レモンポップが快勝。父の血の勢い、そしてオーナーの勢い。強烈な“南風”に乗った
キャットファイトがG1の壁も突き破る。
《上原博師G1・5場完全制覇へ》上原博師は95年札幌ス
プリントS(
ノーブルグラス)でJRA重賞初Vを挙げ、昨年東京スポーツ杯2歳S(
ガストリック)まで重賞29勝。阪神JFを勝てば、区切りの30勝目となる。JRA・G1はダイワメジャーで挙げた5勝を含め6勝。現在G1が施行されている中山、東京、京都、中京は既に勝っており、阪神でのG1を勝てば、現在G1が施行されている5場は完全制覇となる。