「中山グランドJ・JG1」(19日、中山)
ゴールを過ぎた後、
エコロデュエルの背で草野が体を震わせた。人馬とも初のJG1タイトル獲得。鞍上は感激の涙を流した。「もう何を叫んだのか分かりませんが、ジョッキーカメラはカットせずに上げてもらうので見てやってください」と照れ笑いを浮かべつつ、その瞬間を振り返った。
圧巻の勝利だった。大いけ垣を越えてからは
ジューンベロシティとのデッドヒート。最終周回の外回りコースに出たところで一気に引き離しにかかると、場内がどよめいた。最終障害の着地で草野の重心が一瞬宙に浮いたが、何とか持ちこたえる。後続が必死に詰めてきても、もう間に合わない。2着に8馬身差。レコードのおまけ付きだ。
前走の阪神スプリングJは前に馬を置く形で流れ込むだけの4着。レース翌週には岩戸師とみっちりミーティングを行った。「おまえはエコロのことを一番よく知っている。おまえはうまいんだから」とゲキを飛ばされ、その段階で消耗戦に持ち込むという方針で陣営の意志は一致していた。
昨年は落馬による大ケガでレースに騎乗できず、病院のベッドの上で見ていた。「悔しい思いをした。久々のグランドジャンプ。楽しめたら良かったが、余裕はなかったです」と19年目の36歳は話す。馬はこの後休養に入り、暮れの中山大障害を目指す。今度はきっと、立場の変わったプレッシャーを楽しめるはすだ。