“プボくん”の愛称で多くのファンに親しまれ、昨年の有馬記念13着を最後に引退した
ディープボンドが、3日の京都で誘導馬デビューを果たした。
出走馬の馬場入り列の最後方で、りんとしたたたずまいで登場。現役時代よりスッキリとしたフォルムになったが、漆黒のつややかな馬体は健在だった。
4Rの馬場入場時には、現役時代に調教役を務めた大久保厩舎の谷口助手と感動の“再会”を果たした。管理馬を送り出した後、自身のスマートフォンで感慨深げに入場シーンを撮影。無事に出走馬を送り届けた“仕事終わり”の
ディープボンドと一緒に写真に納まった。
谷口助手は「感動ですね。良かったです。こんな日が来るとは」と笑顔。「毎年、春の天皇賞は恒例でしたからね。出走していて当たり前。こんな感じでの再会は、ひと言で言うと不思議な感じです」と心境を語った。現役時代は淀伝統の春の長距離G1に21年から4年連続で参戦し、2、2、2、3着と好走していた。
春は
ディープボンドとの濃い思い出が詰まる季節だった。「阪神大賞典の時も思いました。大仲(厩舎の休憩所)でテレビを見ていたら阪神大賞典をやっていて、あれ?と。現役の時の何年かはプレッシャーがすごくて、めちゃくちゃ長く感じたんですよ。正直、つらい記憶の方が多かったですが、一番思い出に残っている馬です」と懐かしんだ。
昨年末の退厩時にはこみ上げてくるものがあり、あえて見送らず。引退後は初の再会となった。「優秀な誘導馬になってほしいです。誘導馬では着順はつけられないですが、ここで一番になってほしい。もう2着は要らないです」と冗談を交えながら、“愛馬”に熱いエールを送っていた。