◆第86回オークス・G1(5月25日、東京競馬場・芝2400メートル)
牝馬クラシック第2戦、第86回オークス・G1は25日、東京競馬場の芝2400メートルで行われる。桜花賞からは
エンブロイダリー、2歳女王の
アルマヴェローチェ、
リンクスティップの3頭を含む上位勢が参戦。1週間にわたりレースを掘り下げる「考察」担当の坂本達洋記者は、
プロローグ編で別路線組に注目。強さを目の当たりにしたフ
ローラSの覇者が、距離延長で
ヒロインの座を狙う。
オークスの考察にあたって、“クラシックディスタンス”への適性が大きなポイントになるだろう。ほとんどの馬にとって芝2400メートルは未知で、経験があるのは2走前のゆりかもめ賞で6着だった
レーゼドラマだけ。過去の傾向から今年も桜花賞組から女王の
エンブロイダリー、2着
アルマヴェローチェが有力視されるが、まずはこの距離への適性の高そうな馬から本命候補を洗い出していきたい。
そこで注目したいのが
カムニャックだ。
トライアルのフ
ローラSを1馬身1/4差で完勝し、一躍、樫の有力馬に躍り出た。前走のレース後、友道調教師に「成長してきた点は…」と質問したところ、「う〜ん」とひと呼吸を置いて、「新馬戦を勝った時は具合が良くて、これなら3歳になったら…と思っていたけど、なかなか調子が上がってこなくて」という答え。3歳春を迎えてようやく上昇カーブを描けてきたというわけだった。取材のチャンスが少ない関西馬の貴重な話を聞くことができ、目からウロコの落ちる思いがした。
昨年8月の新馬戦(中京・芝2000メートル)は、4角4番手から余裕たっぷりに抜け出して3馬身半差の楽勝。デビュー戦の選択から陣営が中距離適性を見込んでいたことは明らかで、3代母に95年のオークス馬
ダンスパートナーがいる血統背景も強調材料だ。近走は行きたがるような面を見せており、それを踏まえて継続騎乗ができるシュタルケを確保したことも心強い。レース後に鞍上が「距離が延びることについては全く問題ない」と言い切ったように、軌道に乗ってきた素質馬は桜花賞組が相手でも面白い存在になる。
フ
ローラSの勝ち馬のオークスVなら、10年に
アパパネと1着同着だった
サンテミリオン以来。
カムニャックのスケール感から十分に期待できる。そして冒頭で触れた
レーゼドラマは、次回の「前哨戦」で取り上げることにする。(坂本 達洋)