安田記念には意外なジンクスがある。それはNHKマイルC覇者が一度も勝っていないということだ。ともに東京芝1600mが舞台のGIだけに不思議というしかない。

　データを見てみよう。NHKマイルCの覇者はこれまで延べ18頭、35回安田記念に参戦。04年のテレグノシス、09年のディープスカイ、12年と14年のグランプリボス、18年と19年のアエロリット、22年のシュネルマイスターと2着が7回あるものの、未勝利に終わっている。複勝率は29％、複勝回収率は133％もあるので、「NHKマイルC覇者は安田記念で買い」と言えなくもないが、なぜか勝ち切れないのだ。

　今年は2頭のNHKマイルC覇者がエントリーしている。1頭目は23年の勝ち馬のシャンパンカラー(牡5、美浦・田中剛厩舎)だ。同年の安田記念から7連敗中だが、今年2戦は東京新聞杯が0秒5差の7着、ダービー卿CTが0秒3差の6着だから、復調気配あり。思い出の舞台で復活となっても不思議ない。もう1頭は昨年のチャンピオンであるジャンタルマンタル(牡4、栗東・高野友和厩舎)。この1年は香港マイル(13着)の1戦しか走っていないが、ここ目標にしっかりと乗り込まれている。地力は間違いなく上位なので、状態さえ整っていれば、休み明けでも勝ち負けになるはずだ。

　今年こそはレース史に新たな1ページが刻まれるか。2頭の3歳マイル王の走りに要注目となる。