6月8日(日)に東京競馬場で行われる安田記念(3歳上・GI・芝1600m)は、上半期の最強マイラー決定戦として長い歴史を持ち、国内外のトップホースが勝ち馬に数多く名を連ねる。今年はGI・3勝目がかかるソウルラッシュ、3年連続のGI制覇を狙うジャンタルマンタル、重賞3勝の実績馬シックスペンスなどがエントリー。本稿では同レースの開催にあたり、歴代勝ち時計をランキング形式で紹介する。

■5位タイ 1分31秒5 2017年 サトノアラジン

　前年に京王杯SC、スワンSと重賞2勝。その後はマイルCS、香港マイル、ふたたび京王杯SCと3戦連続で1番人気に推されるが支持に応えられず、安田記念は7番人気の単勝12.4倍で出走した。レースは8枠16番から前年覇者ロゴタイプがきっぷよく逃げ、直線に入るとさらに突き放してリード3、4馬身。そのまま連覇かに思われたが、後続馬もじわじわと差を詰めていく。サトノアラジンは馬群の外から鋭く迫り、ゴール寸前でとらえてビッグタイトル獲得。5着までの着差はすべて「クビ」という、大接戦を物にした。

■5位タイ 1分31秒5 2013年 ロードカナロア

　前年秋のスプリンターズS、香港スプリント、13年の高松宮記念を勝利。日本、香港の短距離路線を統一し、次に狙いを定めたのは安田記念での二階級制覇だった。マイルはデビュー2戦目で2着に敗れて以来で、距離適性が不安視されたか、1番人気ながら4.0倍。道中は8番手あたりに付けると、直線は馬場中央に持ち出されて鋭く伸びる。外からダノンシャーク、さらにショウナンマイティも追い込んできたが、最後はクビ差だけしのぎ切ってゴール。1600mの距離でも末脚、スピードを十分に示した。

■4位 1分31秒4 2023年 ソングライン

　NHKマイルCで2着になるなど、若くからマイル路線で存在感を発揮し、22年安田記念で待望のGIタイトル。23年は始動戦の1351ターフスプリント(沙G3)で10着に敗れたものの、立て直したヴィクトリアMを勝ち、続いて駒を進めた安田記念には4番人気で出走した。レースは平均的なペースで流れ、直線は横に広がって末脚比べになったが、ソングラインの伸びだけが目立った。最後は1.1/4馬身差を付ける完勝で、52-53年のスウヰイスー、92-93年のヤマニンゼファー、08-09年のウオッカに続く連覇を決めた。


■2位タイ 1分31秒3 2012年 ストロングリターン

　同年の安田記念は歴史に残る大混戦模様。サダムパテックが一応の1番人気に推されたものの、6.6倍と割れ加減で、最低人気のスマイルジャックさえ91.0倍と、何が勝ってもおかしくない状態だった。そんな中、ストロングリターンは2番人気の単勝6.7倍でスタート。後方寄りの10番手に付けた同馬は、隣の2枠3番グランプリボスと併せ馬のかたちで直線脚を伸ばす。最後は2頭の激しい叩き合いとなったが、これをクビ差制して戴冠。鞍上の福永祐一騎手は右手で握りこぶしをつくり、満面の笑みを見せた。

■2位タイ 1分31秒3 2018年 モズアスコット

　デビュー3戦目から4連勝でOP入りしたが、昇級後は善戦止まり。直前の安土城Sで2着に敗れていたことや、GIでは珍しい連闘策であったことから、9番人気と伏兵評価にとどまった。スタートするとウインガニオンがとび出し、同馬が刻んだペースは半マイル45.5秒のミドル。直線は決め手比べとなったが、進路を内寄りにとったモズアスコットは、馬群を縫うようにして脚を使い、内でしぶとく粘るアエロリットなどをねじ伏せた。これは98年スティンガーの阪神3歳牝馬S以来となる連闘でのGI制覇だった。

■1位 1分30秒9 2019年 インディチャンプ

　注目はGI・5連勝中のアーモンドアイに集まり、同馬のオッズが単勝1.7倍なのに対し、4番人気のインディチャンプは単勝19.2倍だった。ところが、アーモンドアイは発馬で不利を受け、後方からの競馬となる。一方、3枠5番から好スタートを切ったインディチャンプは4、5番手の内という絶好位を確保。直線では進路が無くなる場面もあったが、前がひらくと鋭く伸び、ラチ沿い粘るアエロリットを競り落とし、外から追ったアーモンドアイを封じた。同年秋にはマイルCSをかち、春秋マイルGI完全制覇も達成した。