「東京ダービー・Jpn1」(11日、大井)
大逆転へ出撃態勢は整った-。「第71回東京ダービー・Jpn1」(11日・大井)に出走する羽田盃2着馬
ナイトオブファイア(牡3歳、大井・渡辺和)が7日、大井競馬場で最終リハを行った。
曇り空の中、やや強めの南風が心地良く吹き抜ける。パートナーを務めたのは同じく東京ダービーに出走する
フレンドローマ(大井・上杉昌)。1角過ぎから4、5馬身追いかける形で発進。4角手前では馬なりのまま外から並びかけて直線へ。相手もケイコ駆けする馬だが、馬体が合ったのはその一瞬だけ。軽く肩ムチを入れるとスッと前に出る。さらに鞍上が程良く気合を乗せると、ゴール前でもうひと伸び。約3馬身差をつけ、5F61秒6-48秒6-35秒7の好タイムをたたき出した。
火曜に降った雨の影響で、走りやすくなっていた馬場とはいえ、これには見守った渡辺和師も驚きを隠さない。「たぶん(ナイトの)調教レコードだと思う。軽く仕掛けただけで、これだけの時計を出せるんだからね。動きも抜群。すごい馬だなぁ」と目を丸くした。手綱を取った矢野貴も「反応は十分。息遣いもすばらしい」とべた褒めで馬から降りてきた。
1冠目の羽田盃では
ナチュラルライズに5馬身差と離されたが、主戦は「決定的な差かもしれないけど、京浜盃、羽田盃と同じ相手に差を縮めているし、この馬もレース内容は良くなっていた。(勝ち馬の)背中は見えているよ」と
ファイティングポーズは崩さない。「1歩目さえ出てくれれば。あとは自分のリズムで、
リラックスして走れれば脚は使ってくれる。勝つイメージしかないよ」と力強く言い切った。
「目標に向かって順調に来られたのが一番だね。こんなことはなかなかないよ。それだけに悔いのない仕上げができた」とはトレーナー。満足そうに愛馬を見つめながら、「キ甲が抜けて背も伸びた。だいぶ大人になってきたね。距離は経験しているし、雨も問題ない。他が苦にするならアドバンテージにもなる。あとはレースまで無事に。今回もいい勝負ができると思っているし、できれば勝ってくれたら」。全てが思い描いた通り。その時、雲間から青空が顔を出した。3歳ダートの頂点へ、さえぎるものはない。