「安田記念・G1」(8日、東京)
大激戦となった春のマイル王決定戦。川田騎乗の2番人気
ジャンタルマンタルが好位からの横綱相撲でVを射止め、23年朝日杯FS、24年NHKマイルCに続くマイルG1・3勝目を飾った。2着には9番人気の伏兵
ガイアフォースが入り、1番人気の支持を受けた
ソウルラッシュは3着に敗れた。
先頭から最後方まで、わずか1秒4差。先着馬との着差の欄に「鼻」「首」がズラリと12個も並ぶ大激戦のなか、
ジャンタルマンタルは1馬身半という明確な差をつけて先頭でゴールを駆け抜けた。道中3番手から、直線の坂で堂々先頭へ。まるで、『この距離で一番強いのは俺だ!!』と言わんばかりの横綱相撲でラ
イバルを蹴散らした。
昨年末に遠征した香港マイルでは、全く競馬にならず13着大敗。そこから半年ぶりの復帰戦だったが、川田は「久しぶりに、この馬らしく走ることができてホッとしています。朝日杯FSを勝ってポテンシャルの良さを感じましたし、NHKマイルCでこの馬がマイルで日本一の馬だと実感しました。きょうはそれを証明してくれた競馬だと思います」と相棒の底力をたたえた。
ただ、レースは決して楽なものではなく、むしろ道中は厳しい状況にさらされていた。好発を決めて3番手確保も前に壁はなし。向正面で外から
ロングランが上がって来た時には、馬が激しくエキサイトしてしまった。4角での手応えも、引っ張り切りだった内の
ウインマーベル(5着)とは対照的。鞍上が「あの競馬になって、よくこんな強い勝ち方を。改めて素晴らしい馬だと感じました」と言えば、高野師も「普通なら厳しいくらいエキサイトしたところ、再び川田ジョッキーに気持ちを向けてくれて、収まってからアクションできた。横綱相撲。今後に向けても大したものだと思う」と舌を巻いた。
春は安田記念一本に絞って加減せず攻めたことで見事に復活を遂げた。トレーナーは「今後は決めていないが、結果、状態次第で決めましょうという話をしていた。素晴らしい結果、内容を受けて、いろんな選択肢が広がっている。輝きを取り戻せた今、
ジャンタルマンタルの第2章が始まった」と胸を張った。優先出走権を得たBCマイル(11月1日・米
デルマー)への遠征か、あるいは国内で春秋マイルG1制覇か-。実りの秋へ向け、夢は膨らむばかりだ。