重賞2勝を挙げたアロハドリーム(97年12月撮影、ユーザー提供:ぱしけさん)
函館記念は今年から施行時期が早くなった。6月に行われるのは72年、97年に続いて、28年ぶり3回目となる。そこでここでは前回の6月開催だった97年の激闘を振り返ろう。
最近のファンには驚かれるかもしれないが、以前の北海道シリーズは札幌→函館の順だった。それが97年から函館→札幌にチェンジ。また、函館記念は94年から96年までは別定戦だったが、この年から再びハンデ戦となったのだった。
そんな節目の一戦、前年のエリザベス女王杯で2着のフェアダンスが1番人気に推された。これに中京記念覇者のアロハドリーム、重賞で善戦を続けるグルメフロンティア、サンデーサイレンス産駒で4連勝中のステッペンウルフが続いた。レースは前半1000mが57秒5の超ハイペースとなった。そんな激流も何のその、前々のポジショニングから抜け出したのが、ベテランの加藤和宏騎手に導かれたアロハドリームだ。直線で抜け出すと、一気に後続をグングンと突き放す。終わってみれば2着のグロリーシャルマンに3馬身差の圧勝。圧巻のパフォーマンスで2つ目のタイトルを獲得したのだった。
「これなら秋の大舞台でも…」と期待されたアロハドリームだったが、残念ながらこれが最後の勝利となる。その名前が再びクローズアップされたのは、7歳下の半弟のユートピアがダート路線で大活躍を見せてからだ。競走馬人生の終盤は少々残念だったものの、夏の函館で見せた自己ベストのパフォーマンスは、北のオールドファンの記憶に刻まれているに違いない。