「凱旋門賞・仏G1」(5日、パリロンシャン)
今年も世界の壁は厚く、そして高かった。前哨戦を制した勢いに乗って挑んだ日本馬3頭だったが、最内から脚を伸ばした4番人気
ビザンチンドリーム(牡4歳、栗東・坂口)の5着が最高。今年のダービー馬で3番人気の支持を集めた
クロワデュノール(牡3歳、栗東・斉藤崇)は、途中から主導権を握るも直線でズルズル後退して14着。6番人気の
アロヒアリイ(牡3歳、美浦・田中博)も見せ場なく16着に終わった。勝ったのは地元フランスの10番人気ダリズ(牡3歳)。
アーバンシー(93年)-
シーザスターズ(09年)に続く史上初の親子3代制覇を成し遂げた。
残り300メートル地点では、夢を見た。手応え良く直線に向き、最内のオープンストレッチを突いた
ビザンチンドリームが、先頭に立ちそうな勢いで伸びてくる。悲願達成なるかと思われたが、外から一気に抜け出した2頭には抵抗できず、最後は減速する形で5着に終わった。
マーフィーは下馬してすぐ、「内側の馬場が良かったので、内を突くのはプラン通りでした。自分のなかでもうまく乗れたと思います」とやり切ったという表情でレースを振り返る。1馬身ほど出遅れたものの、15番枠という外枠の不利を打ち消すため、すぐに最内へ誘導。最初は最後方にいたが、さすがは欧州の名手だ。いつの間にかスルスルとポジションを上げて、4角では前を射程圏に入れていた。
負けはしたものの、見せ場はつくった。坂口師も「ジョッキーもベストの競馬をしてくれましたし、結果は5着でしたけど満足しています。外は馬場が良くなかったので、予定通りの競馬をしてくれました」と納得の表情を浮かべた。
レース2日前の午後から雨が降り、前日夕方と、当日のレース直前にも通り雨があった。思った以上に馬場が悪くなったのが誤算と言えば誤算。「馬場が緩かったので、この馬の切れ味がそがれましたが、この馬にはヨーロッパでG1を勝てる力があります」と言い切ったマーフィー。まだ4歳で成長途上だけに、たくましさが増す来年に再チャレンジすれば、戴冠の可能性だって、きっとあるはずだ。