TBS系日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」に出演する妻夫木聡(左)と佐藤浩市
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
TBS系日曜劇場「ザ・
ロイヤルファミリー」が好評だ。豪華な俳優陣はもちろん、早見和真氏による原作の小説がリアリティーに満ちていることも大きな理由だと思う。第1話に出演した丸田恭介騎手が「自分がよく知っている競馬の世界なので、シーンがイメージできて一気に読めました」と語っていたのは、うなずける。
記者が座右の書として大切にしている山口瞳氏の「草競馬流浪記」も読み進めるほど、リアルな光景が浮かんでくる一冊だ。競馬に造詣の深い作家の著者が全国各地の地方競馬場を巡り歩いた旅行記で、まるで旅打ちをしている気分になれる。1984年刊行の作品でも時代を超えて共感できるのは、いつの世でも馬券で泣き笑いする面白さが変わらないからだろう。
私は競馬担当になって今年で9年目だが、残念ながら必勝法を編み出すにはほど遠い。だが、その中でも「ザ・
ロイヤルファミリー」で描かれているように、競馬の世界は騎手や調教師、厩舎(きゅうしゃ)スタッフや馬主、牧場の生産者など多くの人々が携わっており、取材対象はさまざまだ。そこから耳寄りなネタを仕入れて読者に届けられた時の喜びと言ったらない。
もう一つ付け加えるなら、これらの作品から伝わってくるように、競馬は現地でライブで見るのが何より楽しい。競馬の主役が競走馬なのはもちろんだが、予想するファン一人ひとりも馬券ドラマの主人公と言える。スポーツ報知を手に夢のある舞台へ、ぜひ、どうぞ。(中央競馬担当・坂本 達洋)
◆坂本 達洋(さかもと・たつひろ) 2006年入社。好きな地方競馬場は笠松。