追い切り後、マロウ場で軍議を行う
クロワデュノール陣営。最近は水曜の風物詩だが、斉藤崇師の表情は
ジャパンCの出否を決めかねていた先週までと違った。笑い声も漏れ聞こえたその輪が解けたのち、取材陣の前に足を運んだ指揮官は「いい時の
クロワデュノールが戻ってきた。これなら問題なくいけると思う」と力強く出走を表明した。
慎重に状態を見極めてきた上で「合格点」を与えた最終追い。CWコースに登場した
クロワデュノールの背中にはC・デムーロの姿があった。「僕も、北村さんも、(厩舎所属の団野)大成も、ダービー時の良かった状態を追っかけてしまう。クリスチャンは全くのテン乗り。フランスのリーディングジョッキーが
ジャパンCを勝てる感覚を持てるのか。
クロワデュノールとしてではなく、1頭の馬としてどう感じるのか、聞いてみたかった」と意図を説明する。
僚馬
テルヴィセクス(2歳未勝利)、カラベルソナ(2歳1勝クラス)を先行させ、4角で2頭の間から活気十分に並びかける。楽な手応えのまま先頭に立って貫禄の最先着。6F82秒4〜1F11秒1と時計も文句なく、「先週まではペースが上がると伸びてしまい、ダラダラとした動きになっていた。今朝は
バランスを取った中で前進気勢を持って自分から間に入っていった。反応も凄く速かった」と冷静な師の表情も緩む絶好の動き。「クリスチャンにも“何の問題ない。
フィットネスも息遣いもいい。手応えも余裕がある”と話をいただけた」。第三者の先入観なしの意見も決断を後押しした。
14着に沈んだ凱旋門賞の裏で、留守にした国内では同期の
マスカレードボールと
ミュージアムマイルが天皇賞・秋で史上初の3歳馬ワンツーを決めた。「年上のダービー馬2頭もいて、
カランダガン含めていいメンバーがそろった。ここでいい走りができれば、このクラスのトップだと証明できると思う。そこに向けてもう一ついい状態に持っていった中で競馬を迎えられるようにしたい」と結んだ。“最強世代”のダービー馬の
リスタート。再びその才能を証明するにふさわしいラ
イバルも、態勢も整っている。