◆第45回ジャパンカップ・G1(11月30日、東京競馬場・芝2400メートル)追い切り=11月27日、東京競馬場
大きな不安がひとつ消えた。
カランダガン(セン4歳、F・
グラファール厩舎、父
グレンイーグルス)は、芝コースで残り1200メートル地点からスタート。帯同馬を15馬身ほど前に置くとゆったりとしたピッチで加速していき、直線入り口で7馬身差まで接近。そのまま馬場の七分どころを馬なりのまま駆け抜け、1馬身差に迫ったところでゴール板を通過した。前日に「70%程度」と陣営が話していた通り軽めの最終調整。気にするべきは時計ではなく、高速馬場への適性だった。
その点で言えば問題は感じられない。460キロ前後の馬体重を考えれば小さめの体は、それだけ筋肉が詰まっているということだ。ゴムまりのような四肢が爆発的に収縮と弛緩(しかん)を繰り返し、ス
トライドは驚くほど大きく軽やか。飛んでいるような姿は、あのディープインパクトをほうふつとさせた。所有するアガ・カーン・スタッズSCEAのネモネ・
ルース氏が「速い馬場への適性があり、左回り、2400メートルもいいので目標にしていた」と語った勝負気配の高さもうなずける走りの質だった。
越えるべき壁は馬場だけではない。一番は未知である18頭の多頭数。ゲートが遅く追い込み脚質のチャンピオンは、キャリアで14頭立てまでしか経験していない。これまで以上に差し切るのは困難になってくる。
「枠はとても重要で、10番より内がいい」と
グラファール調教師。手にした8番枠は絶好で、大きな不利も受けないだろう。20年ぶりの海外馬Vが見られそうな予感がする。(角田 晨)
◇
グラファール師に聞く
―馬のコンディションは。
「輸送もうまくいき、体重も維持。本当に落ち着いている。順調にきていると思う」
―
ジャパンCを目標にした理由は。
「キングジョージを勝った後に決めた。ここを目標に調整を積んできた。才能がある馬で、前向き。左回りも問題ない。
ジャパンCは難しいレースだが、自信を持っている」
―この馬の長所は。
「今年に入って成熟してくれた。
スピードの持続力がある馬。よくここまで強くなった。
パーフェクトだと思う」
―このあと香港に向かう予定は。
「香港で
ロマンチックウォリアーと対戦させてみたいというのもあるが、やはりレース間隔が短いので参戦は考えていない」