「池江先生、お疲れさまでした!」。中山記念で、最後のレースを終えた池江泰郎調教師(69)=栗東=に、詰めかけた多くのファンから歓声が飛んだ。管理馬の
リルダヴァルは6着に終わったが、名伯楽の目はどこまでも穏やかだった。
メジロマックイーン、ステイゴールド、そしてディープインパクト。数え切れない名馬を育ててきた。ラストこそ白星で飾れなかったものの、この日の小倉11Rでは
ヤマニンウイスカーが1着。JRAでの通算勝利を845とした。
「この世界に入って55年、大勢の方に支えられてきました。感謝の気持ちでいっぱいです。小倉は私の地元・九州(宮崎県出身)だし、中山はディープ(インパクト)の引退式を行った場所。縁があったんでしょう。ファンあっての競馬だということを思いながら、ここまで来ました。皆さんには感謝しています」とファンへの“最後”のメッセージを送った。
武豊は言う。「先生には尊敬と感謝の気持ちしかない」。競馬の一時代を築いた名トレーナーが、惜しまれながら競馬場を後にした。
有終の美を飾った。吉岡八郎調教師(70)=栗東=は、最後に送り出した小倉9Rの
ファイナルパンチで鼻差の、まさに有終Vを決めた。「ゴール前は“間に合ってくれ!”と応援しました。最後に勝つことができて、渡辺騎手には感謝しています。これまで七転び八起き、いろいろなことがありました。夢のある競馬人生を送れたことに今は満足しています」と穏やかに語った。
提供:デイリースポーツ