蛯名を背に坂路で追い切ったアパパネ(右)=美浦トレセン
前走のヴィクトリアマイルで牝馬史上最速のGI5勝目を挙げた
アパパネ。激闘から中2週のハードローテでも、変わらぬ元気な姿を披露した。
美浦坂路の最終追いは
ジェイズバニヤン(5歳500万下)を2馬身追走する形でスタート。蛯名と呼吸をピタリと合わせたまま、スムーズに差を詰めていく。残り1Fで並びかけ、スッと半馬身先着。理想的なラップで4F51.0-37.1-12.3秒を刻んだ。
「間隔が詰まっているから反応を見る程度。もうそんなに必要ないからね。賢い馬だから、自分で体をつくる。こっちは息さえつくってあげればいい」と意図を説明した蛯名。動きに対しては「前走と同じくらいかな。“もっと”という気もするんだけどね」と
ジャッジを下した。
一見、辛口にも聞こえるコメントは、ヴィクトリアマイルの最終追い後と同様。それでも、これは不安ではなく期待の表れだ。「(一番良かった)秋華賞と比べるとね。まあ、こっちが期待している分もあるのかな」とジョッキーは言う。上を目指す者にのみ許される言葉。「それでも走ってくれる。攻めは順調に積んでいるから」と、実戦での能力発揮に支障を与えるレベルではない。
今回は初の牡牝混合GI。「男馬は強い。でも、前走は
ブエナビスタを負かしている。いつもこっちの期待に応えてくれる馬。外枠も克服して、休み明けがダメでも、2走目では必ず結果を出してくれてね」。ヴィクトリアマイルでは不利な8枠(16)番から年度代表馬をねじ伏せた。GIは6戦5勝。
アパパネに対する信頼は厚い。「自在性は高いから、流れを見ながらレースをしたい。それで勝つのが本当に強い馬」。歴史的名牝へ、
アパパネが力強く府中の坂を駆け上がる。
提供:デイリースポーツ