CWでしっかり追い切った、阿蘇S出走予定のスエズ(撮影:井内利彰)
8日が21℃、9日が20℃。これは調教開始前、午前4時40分頃の調教スタンド付近の時計台にある温度計が示していた数字で、先週だと同じ時刻に25℃あったので、今週の朝一番の追い切り時はかなり涼しい環境で行われた。とはいっても、これまでが暑すぎただけで、これくらいが通常なのかも知れない。
【坂路/4F51.9秒】
8日の一番時計は4F50.8秒のウエスタンハピネス(栗東・西園正都厩舎)だったが、51秒を切ったのはこの馬のみ。今週も雨の影響を受けたという状況ではなかっただけに、51秒を切った頭数が少ないからという理由で先週より重い馬場と判断するわけにはいかない。
むしろ冷静に時計上位を見てみると、2歳新馬のスマートサファイア(栗東・佐山優厩舎)が4F51.7〜1F12.9秒という数字で駆け上がっているだけに、他に速い時計を出した馬がいなかったということだろう。馬券的に魅力を感じたのはキョウワプロミス(栗東・笹田和秀厩舎)。4F51.8〜1F12.0秒は古馬でもなかなか出せない時計だが、前走13着の未勝利馬。今週末の出走を予定しているが、このスピード能力ならあっさり勝ち上がっても不思議ではない。
なお、馬場差は8日、9日ともに先週と同じ『0.0秒』で観測している。
【CW/5F66.5秒】
先週も記した内容だが、CWで追い切りを消化する馬がかなり少ない状況。また、5F65秒を切る頭数はさほど多くなかったが、それは馬場状態の問題ではなく、オーバーワークを考慮されて、5Fからは時計を出さないという陣営が増えている影響もあるだろう。
そんな中、かなりしっかりと追い切ってきたのが、阿蘇Sに出走を予定しているスエズ(栗東・吉田直弘厩舎)。6F標識からしっかりペースを上げて、4コーナー手前では更に加速。さすがに長い間、脚を使っていただけに、最後弾けるというまでの印象はなかったが、バテずしっかりと力強い伸びを見せた。6F81.9〜1F12.5秒と全体の時計が速く、終いもそれなりの数字でまとめている。前走後は栗東在厩で調整を続けられているが、体調に関してはすこぶる順調に映る。
なお、馬場差は8日、9日とも先週と同じ『-1.0秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
先週同様、追い切り頭数は少なく、8日は40頭にも満たなかった。それだけに馬場差の診断が難しいところだが、ラスト1F11.5秒を切る馬も少なくなかった状況を考慮すれば、時計の掛かる状態になったとは思えない。
走りやすい馬場ではあったものの、中井裕二騎手が跨ったシーマリア(栗東・清水久詞厩舎)の動きはなかなか。日差しの厳しい時間帯で、前半に比べると疲れが出ても不思議ない状況だったが、単走で5F65.9〜4F51.9〜3F37.6〜1F11.6秒と時計はまずまず。最後までしっかりした脚色は印象的だった。
なお馬場差は8日、9日とも、先週と同じ『-0.5秒』とした。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材:井内利彰)