最近の栗東は、とにかく雨が降らない。トレセン近郊を流れる金勝川も干上がるような状態。21日の夜に激しい雨音が響いたと思ったが、数分もすれば止んでおり、一瞬だけ地面を湿らせたという程度だった。

　雨が降らないこともあり、朝夕も日中の暑さが継続しており、人も馬も倒れないか心配になるような状態。ただ、こんなに暑くても、元気いっぱいな馬もいるもので、やはり夏馬というのはいるのだろう。調教馬場は時計の出やすい状態ではあるが、馬なりで速い時計を出してくるような馬は、今が絶好調、そんな捉え方でよいだろう。

【坂路/4F51.9秒】
　21日。昨日のトレセンニュースで既報した、キズナ(栗東・佐々木晶三厩舎)の追い切りが4F50.5秒。これも十分速かったが、一番時計はロンド(栗東・平田修厩舎)の4F50.2秒。追い切りで動く馬ではあるが、この数字は自己ベストを0.6秒更新している。前走は12番人気3着という人気薄での好走だったが、今の状態を考えると、フロックではないはず。

　全体的な時計だが、先週よりも随分速く、51秒台が続出している。また、ラスト1F12.0秒を切っていながら、4F時計が速いという馬も多く、とにかくスピードが出る馬場であることは間違いない。

　先週、セントウルS(9月8日・阪神芝1200m)を視野に入れて調整していくという発表のあったロードカナロア(栗東・安田隆行厩舎)。21日は2回目のハロー明けの時間帯に追い切られ、1秒以上先行するアウトシャインを追いかける内容だった。徐々に前との差を詰めて、カーブ地点ではしっかり手前を替えて、大きく加速。あっという間に追いつくと、馬体を併走させてゴールまで。持ったままで、4F52.1秒はさすが。順調に仕上がっているというのはもちろんだが、相手のアウトシャインの食い下がりも目についただけに、今週予定されているレース(8月24日・小倉芝1200m)では、近走成績を度外視して狙ってみたい。

　先週の馬場差は「±0.0秒」だったが、今週は明らかに時計が速い。よって、21日、22日とも『-0.3秒』で観測している。

【CW/5F66.5秒】
　雨が降っていなくても、速い時計が出ている坂路馬場とは違い、Cコースは少し時計が掛かってきている印象。3歳未勝利戦がまもなく、出走するにあたって制限が付くため、小倉開催のうちに、なんとかしたいという陣営は、目一杯に仕上げてくることも少なくない。

　その馬たちが、時計を出そうと勢いよく、4コーナーを回ってくると、直線に入ると止まるケースが多々。過去と比較しても、時計が遅いという馬が多いだけに、これは「馬場」が影響していると考えるべきなのだろうが、レースを使い続けている「勤続疲労」という可能性もありそうなだけに、やはり馬場差の見極めは、500万下より上のクラスの走りを見るべきだろう。

　2歳未勝利ながら、動きが目立ったのがエレメンタリー(栗東・中尾秀正厩舎)。2回目のハロー明けという、比較的時計の出やすい時間帯ではあったが、6F82.5秒はなかなか出せない数字。一緒に併せた同厩舎オースミフェアリーは3歳未勝利だが、馬なりで同じ時計をマーク。どちらも今週のレースを予定しているが、馬券的に狙ってみたい追い切り内容だった。

　先週の馬場差が「-0.3秒」が、今週はウッドチップの乾燥が影響している印象。よって21日、22日とも『±0.0秒』の馬場差で観測している。

【DP/5F64.5秒】
　通常時は50頭前後いる、追い切り頭数だが、今週は30頭ほど。かなり少ないため、馬場差を判断するにも難しいが、大きく時計が掛かっているという状況ではなく、乾燥しているため、雨降り時よりも時計を要しているといった程度。

　今週の圧巻追い切りはエーシンエムディー(栗東・大久保龍志厩舎)。体重の軽い見習い騎手が乗っていたということもあるが、最後まで余力がある形で、6F75.6秒。もともと攻め駆けするタイプとはいえ、現在の500万下なら、楽に勝てるだけのスピードはあるはず。

　馬場差は先週と変わらない、21日、22日とも『-0.8秒』で観測している。

※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真：井内利彰)