絶好の動きを見せたマジェスティハーツ(外)(撮影:井内利彰)
日によっては、蒸し暑さを感じることもある栗東だが、基本的には、調教開始前の時間帯は、気温19℃くらい。平均すると「過ごしやすい」という言葉でまとめてもよい季節になってきた。
例年なら、夏場に使い続けた馬の疲労が気になる季節だが、短期放牧などを挟み、上手にケアされている場合は、むしろ、夏の勢いで、そのまま秋を突っ走りそうな気もする。実績のある馬たちが続々と帰厩しているので、そういった馬との対戦も増えてくる、これからのG1トライアルは楽しみなレースになるのではないだろうか。
【坂路/4F51.9秒】
11日。一番時計は4F50.0秒。これは3歳未勝利のミッキーマンデー(栗東・中村均厩舎)がマークしたもの。勝っていないとはいえ、近3走はすべて2着。決して力のない馬ではないだけに、数字通りのスピード能力を全開できれば、といったところ。4F50秒台は他に3頭いるが、よく50秒台を出す顔ぶれ。馬場としては、気持ち速いかなといった程度。
時計は目立たないものの、騎乗者の手応えが抜群だったのは、ラヴァーズポイント(栗東・境直行厩舎)。前走小倉戦から中3週になるが、定期的な追い切りをこなし、順調そのもの。時計は4F54.7秒だったが「引っ張り切れない手応えで、手綱を緩めていたら、終いは12秒台だったと思う」とは、騎乗していた中川助手。初めての中山競馬場は課題かも知れないが、馬体重が回復した今は、小倉2歳S3着当時よりもパワーアップしている。
先週の馬場差が「±0.0秒」。先週とほぼ同じような時計の出方だが、気持ち時計が速い印象もあるので『-0.1秒』で、11日、12日とも観測している。
【CW/5F66.5秒】
先週も記したことだが、朝一番は照明があるとはいえ、視界不良で、追い切りが難しい時間帯。前半飛ばすことができないこともあり、全体的には速い時計は出ていない。時計が出る馬場としては、1回目のハロー明け(6時10分すぎ)、2回目のハロー明け(7時40分すぎ)といったところだろう。
ハロー明けでない時間帯にも関わらず、絶好の動きを見せたのは、先週も紹介したマジェスティハーツ(栗東・松永昌博厩舎)。今朝は、神戸新聞杯で手綱を握る森一馬騎手が跨っての追い切り。3頭併せの最後方からだったが、前半のペースが遅いにも関わらず、引っ掛かるような仕草は一切なし。4コーナーで大外に回ると、豪快に伸びて、最後は内の2頭をあっさりと差し切り。
6F84.0〜5F67.3〜4F52.3〜3F37.6〜1F12.1秒は前半と後半にしっかりと緩急がついており、今後予定されている菊花賞への適性の高さも感じさせる内容。追い切り後の息の入りも良く、来週の最終追い切りで万全の状態になりそうだ。
今週の馬場差は11日、12日とも、先週と同じ『-0.3秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
今週は、いつもポリトラック馬場で時計を出す馬が揃ったこともあって、全体的に見ると速い時計が多かった。5F62秒を切ってくる馬もいたが、決して終いの脚色が鈍るということもなく、惰性でゴールしていたあたり、馬場状態自体は良好だろう。
12日に藤岡康太騎手が跨って、単走追い切りとなったのはサンレイレーザー(栗東・高橋義忠厩舎)。この馬もポリトラック馬場の常連だが、今朝は帰厩最初の追い切りということで、やや強めの追い切り。動きもいつもよりモッサリしている印象だったが、それでも時計は6F78.8秒。終いも11.8秒をマークしており、さすがといったところ。予定されているポートアイランドS(9月29日・阪神芝1600m)には、きっちり仕上がって出走できそう。
なお、今週の馬場差は先週と『-1.0秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)