セキショウを担当する長島厩務員が汗を拭う。「定年が近いというのに、こうしてGIに出られる馬をやらせてもらえるなんて幸せだよ」。この道40年=名門・二本柳俊夫厩舎で24年、現在の杉浦厩舎で16年。馬一筋の人生を送ってきたが、65歳の誕生日を迎える12月9日で定年を迎える。
「大きなケガや病気がなかったのが一番」と穏やかな笑みを浮かべる大ベテランは00年の日経賞で大穴をあけたレオリュウホウや、昨年の京成杯AHを世界レコードで制した
レオアクティブなど数多くの名馬を手掛けてきた。一番の思い出となる馬は「(02年のNHKマイルCを勝った)テレグノシス」と言う。「フランスや香港にも連れて行ってくれた。狙ったレースを全て使えたのがすごかった」と目を細めた。
東の
トライアル・紫苑Sで鮮やかな逃走Vを決め、大一番へのチケットをゲットした
セキショウとともに最後になるかもしれないGI舞台のパドックを歩く。枠順は3枠(5)番。「内にこしたことはないが、ここなら良かった。速い馬もいるみたいだけど、この馬の競馬をするだけだからな」とドッシリ構える。
当日は家族を京都競馬場に招く。「最後だからね。とにかく男馬みたいにドッシリしているし、カイバもしっかり食べて落ち着いているのがいい。ここでいい走りをしてくれたらエリザベス女王杯でもう一度…なんて話になるといいね」。まさにこん身の仕上げを施してレースへと送り出す。
提供:デイリースポーツ