1番人気に応えてダービーの切符をつかんだベルキャニオン=東京競馬場
チケットはわずか1枚。勝つしか先には進めない戦いを制し、競馬の祭典への出走を決めた。ダービーTR「プリンシパルS」(芝2000m)は10日、東京11Rに14頭で争われ、皐月賞7着馬で断然の1番人気に推されたベルキャニオン(美浦・堀)が2分1秒0のタイムでV。ダービー(6月1日・東京、芝2400m)の優先出走権を獲得した。中団馬群で機をうかがうと、直線は先に抜け出した2番人気キネオペガサスとのたたき合いに。最後は3/4馬身差で競り勝った。さらに2馬身半差の3着は馬場の内めから脚を伸ばした6番人気メイクアップだった。
コンビ初結成となったベルキャニオンを鮮やかにリードして、戸崎圭がダービーへの最終切符をもぎ獲った。阪神JF(1着)と桜花賞(2着)でコンビを組んだレッドリヴェールが、オークスではなくダービーへ。しかし、鞍上は福永にスイッチとなった。勝負の世界の非情と言えばそれまでだが、ショックは大きかったはずだ。
残されたワンチャンス。託されたのが、福永のお手馬だったのは運命の皮肉か。直線で2着馬をねじ伏せた内容に、鞍上は「権利が獲れて良かった」と安堵(あんど)の表情。「返し馬から素質の高さを感じた。素直で上手に走ってくれました。距離は2F延びても大丈夫」と競馬の祭典を見据えた。
この馬には心強い“味方”もいる。04年キングカメハメハ、05年ディープインパクトでダービー2勝の金子真人オーナーだ。「(昨年の)ホープフルSで2着に負けて歯車が狂ったが、何とか間に合った。本番も戸崎騎手に乗ってもらいたい」。強運で知られる馬主からは、勝利の女神がついて離れない。
提供:デイリースポーツ