兵庫クラシックの2冠目として行われ、今年で19回目を迎える兵庫チャンピオンシップ。第1回はミツアキサイレンス(笠松)、第2回は地元のロードバクシン(兵庫)と地方勢が優勝。だが、年々JRA勢が有力馬を送り込むケースが増え、第3回以降はすべてJRA勢が制している。近年は第14回の覇者コパノリッキー、そして第17回は1着ケイティブレイブ、2着ゴールドドリームなど、のちにダート界を背負うような素質馬が参戦するケースも目立ち、ハイレベルな争いとなることが多くなっている。
第13回大会からは、JRA勢の上位独占が続いており、とくに牝馬は参加頭数が少ないわりに馬券の貢献度は高い。距離経験も重要なファクターで、未経験の馬は割り引きが必要だ。
馬券攻略の基本はJRA所属馬から狙うこと。今年のような傑出馬不在のときにはBOX買いで、意外な高配当をつかむことも可能だ。地方勢は大苦戦中で、よほどの実績を残していないかぎりは見送りが賢明。どうしても一攫千金で狙うというのであれば、中団もしくは後方から脚をためて末脚を使える馬に絞るのがいいだろう。
また今年は天候が崩れそうな気配だけに、当日の馬場状態がカギを握りそうだ。ダートが締まり、時計が速くなれば、芝での実績のある馬が浮上してくることになる。
以上のような点を踏まえると、今年の出走馬のなかで最も気になるのがビッグスモーキーだ。ダート適性があり、芝のすみれSで3着などスピード面の裏付けもある。2歳時にマークしたもちの木賞の勝ち時計は、重馬場のほぼ同じ条件で行われた翌日の1000万クラスよりコンマ4秒速く、それだけに高い評価を与えてもいい。レース前日から当日にかけての雨予報も大歓迎といえる。
テーオーエナジーは、デビューから4戦して[2-1-1-0]と安定感が光る。千八に絞ったローテにも好感がもてる。鞍上には、当地のクセを知り尽くす岩田騎手がスタンバイ。昇級戦とはいえ、使いながら力をつけているのは確か。好走の要素も揃っており、V候補の1頭だろう。
メイショウヒサカタは、唯一のオープン勝ち馬で実績は上位。ただ、距離実績のない馬は苦戦傾向。この距離延長がどう出るか。取捨は難しいところ。ワークアンドラブ、キャベンディッシュは仕掛けのタイミングがカギ。ワークアンドラブは地元の田中学騎手を、一方のキャベンディッシュはM.デムーロ騎手と腕利きジョッキーを確保。前述した3頭に比べるとやや強調材料に欠けるが、名手の手綱だけに不気味さがある。
地元からは4頭がエントリー。実績最上位は菊水賞で重賞初制覇したアゼツライト。ただ、逃げる形がベストなだけに、ここでは展開的にも厳しくなりそうで…。クリノヒビキは終いを生かす競馬が合うタイプ。腹をくくっての後方待機策で、ひょっとすれば馬券圏内があるかも。エンジェルアイドル、エムティストロフィは近況からも苦しそう。笠松の2頭は目立った戦歴はなく見送りが賢明か。
(取材・文=「スポーツニッポン」記者・桑原勲)