秋の京都芝1600mの牝馬限定戦といえば、毎年良血が集まるメイクデビュー。特に4回開催では阪神ジュベナイルフィリーズ(12月9日・阪神芝1600m)から逆算して、ちょうどよいローテーション。昨年は母がブエナビスタのソシアルクラブ(栗東・池添学厩舎)、2013年にはレーヴデトワールがデビュー勝ちを決めて、阪神ジュベナイルフィリーズに出走している。

　そして、今年と同じ4回開催初日に行われた2015年の同レースでデビュー勝ちしたのがシンハライト。2歳時はこの一戦だけだったが、3歳になって、桜花賞2着、そしてオークス1着という結果を残した。果たして今年の勝ち馬はどんな活躍を見せてくれるのか、今から楽しみ。

【10月6日(土)　京都ダート1400m】

◆アレンタウン(牡、父Speightstown、母Valais Girl、栗東・高橋義忠厩舎)

　Speightstown産駒は日本で大活躍。今夏のプロキオンSをレコード勝ちしたマテラスカイを筆頭に、スパーキングLCを勝ったリエノテソーロ、先日の中山芝1200mで行われたセプテンバーSを勝ったモズスーパーフレアなど芝ダート問わず、短い距離なら絶対的なスピードを見せつけている。

　本馬に対する初見は9月27日のCWでの追い切りだったが、6F86.2秒と全体時計は遅かったものの、ラスト1Fは11.7秒と非常に鋭い伸び。力の必要な馬場状態でこれだけの動きができるのは、パワーも兼ね備えているということ。追いかけた相手を楽々と交わしていった走りにもセンスを感じるし、レースでどんな走りを見せてくれるか楽しみ。鞍上は藤岡康太騎手を予定。

【10月6日(土)　京都芝1600m(牝)】

◆サトノアクシス(牝、父ディープインパクト、母ヘアキティー、栗東・藤原英昭厩舎)

　母はラブレアS(ダート1400m)など北米で4勝を挙げたアメリカ産。2017年セレクトセール1歳では、1億6740万円(税込)という、牝馬では2番目に高い落札価格となっている。

　本馬は6月に函館競馬場でゲート試験に合格。その後は放牧へ出されて、8月22日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩している。8月から9月中旬までは坂路での追い切りが中心、そしてここ2週ほどがCWでの追い切りとなっている。9月26日のCWではルペールノエルと追走して1馬身ちょっと先着、6F83.0秒と時計を要する馬場状態を考えれば、水準以上の数字をマークしたといってよい。速い時計はこれくらいしかないが、ここまで入念に乗られているだけに、出走態勢はきっちり整った。鞍上は福永祐一騎手が予定されている。

◆クロスペンデュラム(牝、父ロードカナロア、母ザレマ、栗東・角田晃一厩舎)

　半兄ミッキーオリビエ(父キングカメハメハ)は未勝利から1600万下まで4連勝した素質馬で、おじには2016年中京記念を制したガリバルディ(父ディープインパクト)がいる血統馬。

　本馬は6月27日にゲート試験に合格し、一旦放牧へ出された後、9月12日にグリーンウッドから栗東へ再入厩している。9月20日のCWでは全体時計は遅かったものの、ラスト1Fは11.8秒と鋭い伸びを披露。1週前追い切りとなる9月27日はCWの状態を考慮して、D芝での追い切り。3歳馬に先行する内容でゴールでは少し遅れたが、4Fで50秒を切っているので特に問題ない。鞍上は藤岡佑介騎手が予定されている。

【10月8日(月)　京都芝1400m】

◆ゲンティアナ(牝、父ディープインパクト、母アゼリ、栗東・松永幹夫厩舎)

　同じ松永幹夫厩舎で管理される全兄ロイカバードは芝で4勝を挙げており、全弟となるアゼリ17は今年のセレクトセール1歳で1億5120万円(税込)で落札されている。

　本馬については「小柄ですが、しっかりしたキャンターをする馬。ディープ産駒らしい、切れのある脚を使いそうです」と松永幹夫調教師。9月26日の坂路では新馬イチバンヤリを追いかけて半馬身ほど届かなかったが、手応えには余裕がある状態。加えて、時計が出にくい重たい馬場だったので、素軽い走りをする同馬には走りにくい馬場だった。目立った時計は出ていないが、走路が芝になれば違った走りを見せてくれるはず。なお、デビュー戦については、10月6日(土)京都芝1600m(牝)になる可能性もある。

(取材・文：井内利彰)