コースレコードを1秒1更新し快勝したグリム(撮影:武田明彦)
3歳のグリムが逃げ切り5馬身差圧勝。この世代のダートチャンピオン、ルヴァンスレーヴこそ古馬との対戦はこれからだが、この3日前にはオメガパフュームがシリウスSを制しており、ダート路線での3歳世代のレベルの高さを示すものと言っていいだろう。
好スタートはマイネルバサラだったが、それを制して逃げたのはグリム。大外枠だが、有利と言われるラチ沿いをとって逃げる作戦だったのだろう。2周目向正面ではマイネルバサラに並びかけられたものの、3コーナー過ぎでこれを振り切ると差を詰めてくる馬はおらず、最後は流すようにしてのゴール。2着のセンチュリオンに5馬身差をつける圧勝となった。
そして勝ちタイムの2分11秒4は、コースレコードを1秒1更新。ちなみにセンチュリオンの走破タイムが、2014年のこのレースでエーシンモアオバーが記録したこれまでのコースレコード2分12秒5と同じタイムだった。
3番手を追走していた名古屋のカツゲキキトキトがセンチュリオンから1馬身半差の3着。マイネルバサラは57kgを背負っていたとはいえ、勝ったグリムから2秒も離されたから、有力馬で持てる能力を発揮したのは3着のカツゲキキトキトまでだろう。
もう1頭の3歳馬ドンフォルティスは3、4番手の好位を追走したものの3コーナーで一杯になってブービーの10着。ルヴァンスレーヴに唯一先着している期待馬だが、その後のジャパンダートダービー、レパードSが案外の成績で、今回は勝ち馬から4秒4という大差。完全にリズムを崩してしまった。
そして1番人気のミツバは、ドンフォルティスからさらに大差がついての最下位。2コーナーを回るあたりから追い通しでついていけなかった。故障などではないようだが、まったく走る気をなくしてしまった。
さて、圧勝だったグリムの評価はということになるが、今年ここまでに金沢で行われた重賞の勝ちタイムを昨年と比べてみると、全体的にタイムが速くなっていること、昨年2着で今年3着のカツゲキキトキトの走破タイムも今年のほうが1秒3も速いこと、2着のセンチュリオンは休み明けに加えて地方は初参戦だったこと、今回のメンバーでは実績最上位のミツバがまったくレースをしなかったこと、などを考えると、コースレコードの1秒1更新、2着に5馬身差という数字は、ひとまず額面通りには受け取らないほうがいいかもしれない。ただ冒頭で触れたとおり、3歳世代のレベルが高いことは間違いなさそうだ。