2番手から上り最速のケイティブレイブが完璧な勝利/日本テレビ盃回顧(斎藤修)

2018年10月04日 18:00

安定して能力を発揮するようになったケイティブレイブ(撮影:高橋正和)

 ある程度予想されてはいたことだが、勝負になったのは中央4頭に、地方馬ではダートグレード実績のあるヒガシウィルウィンを加えた5頭で、それ以下は大差がついた。7着まで人気順に入線というのは、たまたまという要素が強いが、JBCに向けてこれだけ有力馬が揃うJpnIIで、フルゲート14頭のところ中央枠4頭はいかにも少ない。フルゲート16頭の大井・盛岡のGI/JpnIは中央枠7頭、同14頭のJpnI、川崎記念やかしわ記念も中央枠が6頭あるのだから、JpnII以下でもフルゲート14頭なら中央枠は5頭ないし6頭にすべきだろう。

 最内枠のテイエムジンソクが先頭に立って、ケイティブレイブが2番手という、予想された展開になって、いきなりペースが落ち着いた。スタートしてスタンド前の直線は、見るからにスローペースがわかった。前半800mが51秒7で、12秒4を挟み、後半800mが48秒4という、前半ゆったり流れての上り勝負だった。

 自在にレースを運べる術を身につけたケイティブレイブはほんとうに安定して能力を発揮するようになった。逃げたのはテイエムジンソクだが、2番手につけて、前のテイエムジンソクをもコントロールしているかのようなレース運び。帝王賞以来3カ月ぶりだが仕上がりのよさもあったのだろう。直線を向いてテイエムジンソクを競り落とすと、上り3F=36秒4という脚を使われては、追ってきた馬たちは手も足も出ない。

 2着のアポロケンタッキーは、ペースが上がった3コーナーあたりからモレイラ騎手は追い通し。アポロケンタッキーの勝ちパターンは、勝負どころでペースが上がる前にライバルに並びかけるか直後につけ、ゴール前で一瞬の脚を使って差し切るというパターン。ケイティブレイブに続く3番手を追走したが、道中でとらえるスキを与えてもらえなかった。それでもレースの上りと同じ36秒6という上りで2着に食い下がったのは、この馬の底力だろう。

 サウンドトゥルーは鞍上が御神本騎手となったが、スタート後は中団よりうしろでも、流れが遅いと判断すれば早めに先行有力勢の直後に取り付くというのは、まったくいつもの競馬。それでも前半スローに流れて、前にいる2頭に36秒台で上がられては、この馬の出番はない。能力は発揮したが持ち味を発揮する展開ではなく、直線ではアポロケンタッキーとの差がまったく詰まらなかった。

 テイエムジンソクは向正面まで行きたがるのを抑えるのに苦労していたようだった。さすがにGI/JpnI実績のある1〜3着馬のクラスが相手となると分が悪い。道中で息が入りやすい地方の流れや馬場も、この馬には合っていないように思う。

 ヒガシウィルウィンは、アポロケンタッキーと内外併走するようにレースを進め、直線での追い比べとなって抵抗できなかった。勝ったケイティブレイブからは1秒1差。帝王賞でも勝ち馬からは1秒差だったから、同じように能力は発揮している。現状、古馬一線級のGI/JpnIクラスが相手ではやや壁はあるが、JpnII、JpnIIIならメンバー次第ではチャンスはある。あとは本当の距離適性がどのあたりにあるのか。地方のダートグレードでマイル戦は、2歳戦と牝馬限定戦を除くと、JpnIの南部杯とかしわ記念しかなく、だいぶ先になるが、来年のかしわ記念には期待してみたい。

 最後に、JRA阪神開催が代替の代替となって、この日はJRA-IPATでの地方の発売がなくなった。売上はどうなるのか心配したが、なんと、当レースではこれまで最高額だった2013年の4億4940万2300円を5300万円余りも上回る5億280万900円のレコード更新という発表には驚いた。ナイター効果もあっただろう。またこれはあくまでも想像だが、JRA-IPATでの地方の発売もこの10月で7年目に入り、たとえIPATでの発売がなくても地方の馬券を買ってみようというファンの裾野が広がったのだろうか。

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