牡馬三冠の最終戦。牝馬の秋華賞は、同じ京都でも内回りコースを一周して芝2000mという比較的ベージックな競走条件だったが、菊花賞はそうではない。そもそも、JRAの競走馬が3000m級の長距離戦を走ること自体が稀なことだ。同じ淀の長距離GIでも、天皇賞(春)の場合は、出走馬の多くがコース形態が類似するコースでの前哨戦で経験を積む機会があるが、菊花賞はまさに一発勝負である。
1.凡走からの巻き返しが困難
過去10年の菊花賞の連対馬20頭のうち、18頭は前走で3着以内に好走していた。例外は昨年2着のクリンチャーと2008年2着のフローテーション。さらに勝ち馬10頭のうち6頭は前走でも勝利していた。例外の4頭の前走はいずれも神戸新聞杯で、そこで2着か3着に入っていた。
2.京都経験が有利に働く
関東馬が不振である(昨年まで16連敗)ことはよく知られるが、そのおもな原因として、クラシックが地元で行われる関東馬は輸送して京都を走る機会が少なく、菊花賞で超えるべきハードルが増えていることが挙げられる。反面、京都適性を活かして菊花賞で激走した馬は数多い。昨年10番人気2着のクリンチャーは、京都の未勝利戦を14番人気で3馬身差圧勝した履歴があった。さらには今年の京都記念も4番人気で1着した京都巧者だ。2014年4番人気2着のサウンズオブアースは京都新聞杯で8番人気2着、2012年7番人気3着のユウキソルジャーはそれまで京都で2戦2勝。
3.乗り替わりはNG
過去10年の菊花賞馬は、いずれも前走から同じ騎手が継続して騎乗していた。乗り替わりの馬が菊花賞を制覇したのは、2004年のデルタブルース、2001年のマンハッタンカフェの例があるが、いずれもそれ以前にコンビを組んだ経験があり、まったくのテン乗りではなかった。2着馬についても過去10年で10頭中8頭が継続騎乗。乗り替わった馬の苦戦は、ダービーと同じ傾向である。
エタリオウは前残りのダービーを追い込んで4着、神戸新聞杯でも最速上がりを繰り出しての2着。前走から騎乗したミルコ・デムーロ騎手をしてもこの馬の反応の鈍さには手を焼かされていたが、前走の経験を今回にフィードバックしてくることだろう。これまで8戦1勝だが、京都に限れば未勝利を4番人気1着、梅花賞で3番人気2着。強く仕掛けなくても3コーナー過ぎの下り坂で加速していける京都外回りはおそらく合っていると見る。