今週末に行われるエリザベス女王杯だが、ラップギア理論を標榜する岡村信将氏は「脚の遅いほうが有利」と断言する。果たして、その真意とは? 過去のエリザベス女王杯のレース傾向を上がりタイムから分析、今年のレースへのヒントを伝授してもらった。
意外にも重視すべきは脚の遅さ。エリザベス女王杯は脚の遅い馬が有利なんです。速さを競う競技において“遅いほうが有利”なんて奇異に感じるかもしれませんが、エリザベス女王杯は牝馬にとっては相当にタフなレースだということです。
天皇賞(秋)や牝馬限定のヴィクトリアマイルに代表されるように33秒ソコソコの末脚が要求される現在のGIにおいて、このエリザベス女王杯は宝塚記念と並んで、速い上がりが不利に働いてしまう、かなり異質なレースだと考えられます。
もう少し具体的にいうと、過去エリザベス女王勝ち馬のほとんどは、上がりのかかるレースを得意とする馬だったということです。これは現条件での施行となった1996年のダンスパートナーから21年間変わらない傾向。2007年ダイワスカーレットだけが33秒台ですが、同馬はこのレース以降、上がりのかかるレースでも変わらぬ強さを見せはじめ、完全無欠のスーパーホースとなりました。ちなみに、過去10年で見ても下記の通りです。
■過去10年のエリザベス女王杯勝ち馬の“1〜3着時平均上がり3ハロンタイム”
2008年 リトルアマポーラ 34秒4
2009年 クィーンスプマンテ 35秒3
2010年 スノーフェアリー 外国馬
2011年 スノーフェアリー 外国馬
2012年 レインボーダリア 35秒2
2013年 メイショウマンボ 34秒7
2014年 ラキシス 34秒3
2015年 マリアライト 34秒7
2016年 クイーンズリング 34秒8
2017年 モズカッチャン 35秒2
※該当年エリザベス女王杯前の成績で算出。芝のレースのみ集計し、不良馬場などによるブレを緩和するため、最速値と最遅値を除いての平均
一般的に重賞クラスで強いといわれるのは“速い上がりを使える馬”であり、上記の表はほかの多くのGIでは33秒台〜34秒ソコソコの数字がズラリと並ぶはずの一覧。それを踏まえて、今年の出走馬17頭に対しても同様の数値を算出してみましょう。
■2018年エリザベス女王杯出走馬の“1〜3着時平均上がり3ハロンタイム”
アドマイヤリード 33秒6
リスグラシュー 33秒8
スマートレイアー 33秒9
ミスパンテール 33秒9
ハッピーユニバンス 34秒2
フロンテアクイーン 34秒2
ワンブレスアウェイ 34秒2
エテルナミノル 34秒3
コルコバード 34秒4
カンタービレ 34秒6
ノームコア 34秒7
ヴァフラーム 34秒8
レイホーロマンス 34秒8
クロコスミア 34秒9
レッドジェノヴァ 35秒0
モズカッチャン 35秒1
プリメラアスール 35秒7
※芝のレースのみ集計し、不良馬場などによるブレを緩和するため、最速値と最遅値を除いての平均
この数値が遅ければ遅いほど良いという訳でもないのですが、ある程度の線引き、目安として機能してくるものと思われます。遅ければ遅いほど良いという話なら、逆走する馬が一番ということになりますね。(笑)
ちなみに昨年は上位人気がすべて上がりの速いタイプで、5番人気のモズカッチャンが優勝しました。今年はモズカッチャンに加えて、3歳馬のノームコアやカンタービレも“脚の遅いグループ”に入ってくるのが考えどころになってきます。
(文=岡村信将)
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