3歳ゴールドシップが菊花賞からの連勝(撮影:下野雄規)
凱旋門賞2着のオルフェーヴルは体調が整わず回避。その有馬記念で1番人気に推されたのは、オルフェーヴルと同じく型破りなレースぶりでクラシックを制したステイゴールド産駒だった。
その馬の名はゴールドシップ。皐月賞では荒れ馬場を意識して各馬が外を回す中、ただ1頭、内に突っ込んでの“ワープ”を披露。菊花賞では通過順位17-17-4-2という大捲り。インパクト抜群の内容で二冠を制した芦毛の怪物候補だ。
2番人気ルーラーシップはここが引退レース。春にクイーンエリザベス2世カップを圧勝しG1ウイナーの仲間入りを果たしたものの、秋2戦はともに大出遅れが響き3着止まり。「ゲートさえ五分なら」というのが、ファンと陣営の偽らざる思いだった。
ゲートが開くと場内は悲鳴に包まれる。ゲートで立ち上がったルーラーシップが10馬身近く出遅れたからだ。ゴールドシップもダッシュがつかず後方2番手からの競馬となる。
ハナを切ったのはアーネストリー。前年とは打って変わり、平均ペースでの逃げを打つ。ビートブラック、ルルーシュが続き、エイシンフラッシュは中団の内目を追走。馬群に取り付いたルーラーシップが後方3番手、ゴールドシップは1番後ろからレースを進める。
3コーナーから捲っていったゴールドシップ、一緒に動いたルーラーシップはかなり外を回る形になって直線へ。横一線に広がった追い比べから、内から2頭目を抜けてきたのは、レース当日に急遽、M.デムーロから乗り替わった三浦皇成が手綱を取るエイシンフラッシュ。残り100m地点で3馬身近いリードを奪う。
そこへ馬場の真ん中からオーシャンブルー、大外からゴールドシップとルーラーシップが襲いかかる。最後はゴールドシップが1.1/2馬身突き抜けてゴールに飛び込んだ。
ゴールと同時に高々と内田博幸の左手が上がる。新たなスター誕生の瞬間であった。