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【ホープフルS 勝負の分かれ目】狭いところをノーステッキで抜け、デムーロ騎手の余裕のエスコートで戴冠

2018年12月28日 18:00

ホープフルSを制したサートゥルナーリア(撮影:下野雄規)

 ゲートが開き、12頭の出走馬が飛び出した。大方の予想では逃げると見れらていたキングリスティアが出遅れて、後方からの競馬となった。

 ミルコ・デムーロが乗る1番人気のサートゥルナーリアは好スタートを切り、最初の5、6完歩でハナに立った。

「スタートはすごくよかった。コーナーを4つ回るのも、2000mも初めてだった。それを気にしていたので、ハナには行かなかった」

 そう振り返ったデムーロは、手綱を抑えて他馬が来るのを待った。内からニシノデイジー、外からアドマイヤジャスタといった有力馬が接近してくる。

 正面スタンド前で、それらをコスモカレンドゥラが外からかわし、先頭で1コーナーに入って行った。

 2番手はサートゥルナーリア、外の3番手はアドマイヤジャスタ、内の4番手にニシノデイジーと、人気どころが集まった。

 先頭から最後方まで8馬身ほどの一団となって向正面へ。

 1000m通過は1分02秒5。これだけスローだと、やはり行きたがっている馬が多い。

 コスモカレンドゥラアドマイヤジャスタブレイキングドーンサートゥルナーリアが3馬身ほどに固まったまま4コーナーを回り、直線に向いた。

 サートゥルナーリアの前にはコスモとアドマイヤ、ブレイキングが横並びの壁となっている。そのさらに後ろにいたニシノデイジーも行き場がなく、追い出しを待っている。

 ラスト200m地点でアドマイヤがぐいっと伸び、ブレイキングとの間にわずかなスペースが生じた。そこにデムーロはサートゥルナーリアを誘導した。

「直線で狭いところに入った」

 そう話したシーンだ。サートゥルナーリアはノーステッキで瞬時にそこをすり抜け、2着を1馬身半突き放してフィニッシュ。デビューから無傷の3連勝を遂げた。

 最後の5完歩ほどは流すような感じで、デムーロが左拳を握りしめながらのゴールと、余裕を感じさせた。

「今年一番強い2歳に乗っていると思っていました」。

 重賞初勝利がGI制覇。レースではまだ一度もステッキで叩かれたことがないのだから、末恐ろしい。

 兄エピファネイアリオンディーズにつづいて母系の素晴らしさを示したばかりでなく、父ロードカナロアの種牡馬としてのポテンシャルの高さを、アーモンドアイとともに実証する結果となった。

 最優秀2歳牡馬は、4連勝で朝日杯FSを制したアドマイヤマーズになると思われるが、来年のクラシック戦線は、この馬を中心に回っていくことになりそうだ。

 生産馬によるワンツーフィニッシュを決めたノーザンファームは、これが同牧場の年間最多記録をさらに更新するGI16勝目となった。

(文:島田明宏)

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