香港スプリント界の筆頭格として海外馬を迎え撃つビートザクロック。前哨戦は足元をすくわれた形の敗戦だけに、巻き返しへの期待は高い。写真=森内智也【netkeiba.com】
今年も香港チャンピオンズデーの一環として行われることになったチェアマンズスプリントプライズ。昨年のファインニードルに続き、今年はナックビーナスが参戦する。スプリント路線は香港馬の牙城だが、例年よりは層が薄いといわれる今年のラインナップ。その香港勢に対して、一矢報いることができるのか。香港競馬で、レーシングエディターとして活躍するIan Sham氏に今年の展望をうかがった。
「2016年のチェアマンズスプリントプライズを制したのは、オーストラリアから来たシャトークアだった。あれから3年、再びオーストラリアに勝利を届ける馬が誕生するかもしれない。サンタアナレーンだ。
先日のTJスミスステークスで並みいる有力馬を一気に差し切り、さらに突き放したレースぶりは、トップスプリンターとしての非凡さをアピールするのに十分すぎる内容だった。ただ、もしペースが彼に向かず、脚を余すようなことがあれば、アルクォーツスプリントでブルーポイントの4着に好走したビドラにチャンスが巡ってくるかもしれない。ただ、木曜日、朝の調教で脚を気にする素振りを見せたことが気がかりだ。
一方、毎年、この路線を制圧している香港勢からは、スプリントカップ組が中心となるだろう。その1番手はビートザクロック。スプリントカップでは、ミスタースタニングを交わしたところをラタンの強襲に遭い、2着に敗れたが、負担重量は勝ったラタンと5ポンドの差があった。
そして2番手に考えていたミスタースタニングが、右前跛行で出走取消という悲しいニュースが届いた。こうなるとスプリントカップを勝ったラタンや高松宮記念2着の実績のあるナックビーナスあたりも馬券に絡む可能性がありそうだ」
(取材・文=Ian Sham、訳=森内智也)