【勝負の分かれ目 エプソムC】超スローから急激にペースアップ。タフなレースを組み立て、良血開花

2019年06月09日 19:20

鞍上の要求にきちんと応えてレースを作り、結果を出したレイエンダ(撮影:下野雄規)

 第10レースあたりから降り出した雨が強くなるなか、第36回エプソムカップのゲートが開いた。ソウルスターリングが出走を取り消し、出走馬は13頭。馬場状態は稍重のままだった。

 サラキアが押し出されるように先頭に立って向正面に入った。クリストフ・ルメールのレイエンダが半馬身ほど遅れた外の2番手につけた。

「今日はいいスタートを切って、いいポジションを取ることができた。そのあとは冷静に走っていた。やわらかい馬場を心配していたけど、スローになって、力があった」とルメール。

 1馬身差の3番手集団にストーンウェア、ダノンキングダム、そして,1番人気のソーグリッタリングがいた。

 先頭から最後方まで10馬身もない。1000m通過は1分3秒9。馬場状態を考慮に入れても超スローだ。

 4コーナーでほとんどの馬が内を避けて回り、直線に入った。

 ラスト400m地点でもサラキアが先頭をキープしている。レイエンダはその外に併せて追い出しのタイミングをはかっている。4コーナーでインをショートカットしたブレスジャーニーも内から押し上げてくる。

 ラスト200m付近で、レイエンダのルメールのアクションが大きくなり、右ステッキでゴーサインを出した。ルメールはこう振り返る。

「いい反応だった。速い脚を使ってくれた。この前はよくなかったけど、チークピーシーズで違う馬になった」

 レイエンダが力強く伸び切り、重賞初制覇を果たした。

 3/4馬身差の2着がサラキア、1馬身差の3着にソーグリッタリングが追い込んできた。

 勝ちタイムは1分49秒1と遅かったが、レース自体の上がりは32秒9と速くなった。差のない2番手につけていたレイエンダに32秒7で上がられたら、後ろの馬にはどうすることもできない。

 ミッキースワローやダノンキングダムなどは、返し馬のときから走りづらそうにしていた。そうした馬場状態でありながら、3頭がラスト3ハロン32秒台を叩き出す瞬発力勝負になった。

 4コーナーから急激にペースアップしたのは、自然にそうなったわけではもちろんない。逃げたサラキアの丸山元気と、直後についたレイエンダのルメールらが、後ろの馬にとってタフな展開を作り出したのだ。

 鞍上の要求にきちんと応えてレースを作り、結果を出したレイエンダの強さは本物だ。超良血が開花した。

(文:島田明宏)

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