レースでの走りに注目したい良血馬ラインベック(写真中央、撮影:井内利彰)
先週で東京、阪神の開催が終了。今週から福島、中京の開催となるが、栗東からはまだまだ話題の良血馬がスタンバイしている状態。近年は夏の中京デビューでGIを勝った馬も多数いる。
昨年の開幕週に行われた中京芝1600mを勝ったのはアドマイヤマーズ(栗東・友道康夫厩舎)。その後は朝日杯FS、NHKマイルCとGIを2勝している。当時、ハナ差2着だったケイデンスコール(栗東・安田隆行厩舎)はその後、新潟で未勝利を勝ち、新潟2歳Sを制した。今年も同じ厩舎が同じ番組にデビュー予定、非常に興味深い一戦となりそうだ。
【6月29日(土) 中京芝1600m】
◆ラインベック(牡、父ディープインパクト、母アパパネ、栗東・友道康夫厩舎)
父ディープインパクト、母アパパネ。常に注目される良血馬だが、全兄ジナンボーは先日、東京芝1800mの3勝クラスを勝ち上がって、晴れてオープン入り。しっかり結果も残す血統といってもよいだろう。
ノーザンF天栄から栗東へ入厩した4月5月はゲート試験を受けるための期間。合格後はノーザンFしがらきへ移動してリフレッシュ。そして、現在はデビューに向けた調教が進められている。
さすがと思わせてくれたのが、レースでも騎乗予定の福永祐一騎手が跨った6月19日のCW。マイラプソディと併せて、後ろからはサヴォワールエメが追いかけてくる展開。最後はマイラプソディが遅れたが、その1Fは11.7秒。全体時計が6F85秒と遅かったので、これだけ動いて当然という見方もできるが、余裕のある走りはいかにも走る馬の雰囲気。レースでの走りに注目したい。
◆アージオン(牝、父ロードカナロア、母インナーアージ、栗東・安田隆行厩舎)
入厩前から安田隆行調教師が「初仔ということもあって小さいんですけど、すごくバランスのいい馬」と高い評価。レースでは400キロを切りそうな小柄な体型で、他馬と一緒に歩くと、どうしてもひと回り小さく見える。
そんなこともあってか、6月13日のCWではホットミストと併せて遅れてしまう。6F89.0秒という時計を考えれば、かなり物足りない内容になったが、6月19日の坂路では素晴らしく動いて、4F52.0秒。終いも2F24.3秒、1F12.0秒と速い時計をマークし、別馬かと思うような調教内容だった。
掴みどころがない印象も拭えないが、素晴らしいバネを持っているのは間違いない。それを発揮できる状況になるかどうかで結果が大きく変わってくるかも知れない。鞍上はM.デムーロ騎手が予定されている。
【6月30日(日) 中京芝1600m(牝)】
◆バトーデュシエル(牝、父ロードカナロア、母エルダンジュ、栗東・安田翔伍厩舎)
2018年セレクトセール1歳にて、5200万円で落札されているロードカナロア産駒。半兄に芝で5勝を挙げているアドマイヤスピカ(父キングカメハメハ)やダートで4勝を挙げているエルデュクラージュ(父クロフネ)がいる。
ゲート練習に時間をかけているが「お嬢様タイプで、自分が納得しないとやらないようなところがあります。そこを無理強いすると余計に時間がかかってしまうので、ゆっくりと時間をかけました」と安田翔伍調教師。
ゲート試験に合格すると、リフレッシュ放牧へ出されたが、栗東へ帰厩してからは坂路、CWと着実に追い切りを重ねている。6月19日のCWでは併せ馬を追走して同入。6F81.7秒という時計は速く、終いもしっかりしていた。最終追い切りには、レースで騎乗する川田将雅騎手が跨る予定だが、どんな動きを見せてくれるか楽しみ。
【6月30日(日) 函館芝1200m】
◆リュッカ(牝、父キズナ、母フミノサチヒメ、栗東・橋口慎介厩舎)
先週のデビュー予定もあったが「調教量が少なかったこともあり、延ばしました」と橋口慎介調教師。馬のタイプについては「自分からハミをとっていくようなタイプではありませんが、体型的にはスプリンター」ということで、函館芝1000mでデビュー勝ちした母のイメージかも知れない。その母は4勝すべてが函館、札幌という洋芝巧者。
6月19日の芝追い切りでは3歳未勝利と併せて楽な手応えで先着。半マイルなので、4F51秒台の時計は決して速くないが、このひと追いでより走れる状態が整ってくるだろう。鞍上は坂井瑠星騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)