今年の船橋記念を制したアピア。目下3連勝中と、スプリント路線では向かうところ敵なしだけにその勢いを止める馬は現れるのか?(撮影:高橋正和)
全国からスピード自慢が集うスーパースプリントシリーズの最終戦「習志野きらっとスプリント」。まだ9回目と新しい重賞だが、古くからある「船橋記念」(1月)とともに船橋1000mコースを使った究極のスプリント戦である。
第1回から笠松の女傑ラブミーチャンが3連覇。第4回は船橋記念を4連覇したナイキマドリードが制覇と、全国クラスのスピードスターがレースを彩ってきた。ラブミーチャン後は連覇がないが、1200m戦とはひと味違うこの距離の攻略のカギを解説していきたい。
1.距離
たかだか200mと思われるかもしれないが、非常に重要。1200mでは少し長い、という馬が活躍する。第6回優勝馬フラットライナーズが該当。この馬に関しては900mでは短く、1200mは長かった。1000mが初めての場合、実績としては意外とオープンの1200mより、900mで良績があるほうが信頼性が高い。また、昨年優勝のアピアは折り合いに課題があるため、距離は短ければ短いほど一気に走れていいタイプ。このタイプも1200mより1000mでハマることが多い。
2.枠順
短距離では基本的に距離ロスなく走れる内枠が有利だが、この舞台で最内は不利。歴代優勝は11、5、6、9、10、5番と真ん中〜外め。2角の奥の引き込み線からスタートして少しカーブになる1200mは内のほうが先行しやすい。だが、スタートからしばらく直線の1000mでは内枠は包まれやすく、逃げれば外から絡まれ…と、競馬の組み立てが難しくなる。外からスピードに乗って前に行く形が理想的だ。
3.脚質
これはあまり変わらないが、1分前後の電撃戦だけに1200m以上に先行有利。第1回から第7回までが逃げ切り勝ち。前回のアピアは前4頭でやり合う形になったため、その後ろからだったが5番手とはいえ実質2列目。先行有利は揺るがない。
4.斤量
別定で重賞を勝っている馬はプラス1〜2キロを背負わされるが、スプリントの一線級が集うだけに筋肉もりもりタイプが多く、実力があればなおさら斤量泣きはしない。ラブミーチャンは斤量56キロ(牡馬なら58キロ換算)、ナイキマドリードは58キロで勝っている。53キロで勝ったルックスザットキルを除けば、そうそう下克上は起こらないと見ていい。また、歴代優勝馬で485キロ以下はいない。
以上を踏まえ、今年の習志野きらっとスプリントを楽しんでいただきたい。
(取材・文=「スポーツニッポン」記者・秋田麻由子)