13頭がほぼ横並びのスタートを切った。
2番
マテラスカイと5番
ラブカンプーが並んで後続を引っ張る展開になった。
直後に和田竜二の6番
ファンタジストがつけ、1番
ペイシャフェリシタ、4番
イベリスらがつづく。
内枠から出た馬たちが主導権争いをつづけるなか、クリストフ・ルメールが乗る1番人気の7番
タワーオブロンドンは、ややゆっくりとゲートを出て中団から後方につけた。
「スタートはそんなによくなかった。それでもすぐにハミを取りました。3、4コーナーではすごく走りたがっていた。ペースはちょうどよかったです」
そうルメールが振り返ったように、3コーナーから馬群のなかを引っ張り切れないほどの手応えで進む。
4コーナーを回りながら外に進路を確保して前をクリアにし、直線へ。逃げ込みをはかる
マテラスカイとの差は3馬身ほどあったが、ルメールには余裕があった。
「直線では自信があった。いい脚を使ってくれました」
ラスト300mほどのところで馬群の外に持ち出されると、
タワーオブロンドンは溜めていたエネルギーを爆発させた。
1完歩ごとに前との差を詰め、ラスト200mを切ったところで先頭に躍り出た。そこからは独壇場だった。ノーステッキで後ろを突き放し、2着の
ファンタジストに3馬身差をつけてフィニッシュ。重賞4勝目を挙げたと同時に、サ
マースプリントシリーズのチャンピオンとなった。
勝ちタイムは従来の記録をコンマ4秒短縮する1分6秒7のコースレコード。同じルメールが乗った9レースの瀬戸内特別を勝った
メモリーコロネットの阪神芝1400m1分19秒3につづくレコードとなった。
「めちゃめちゃ強かった。ボディや走り方がス
プリンターっぽいし、今年は1200mを使って、今日はすごくよかった。今日はGIホースもいました。もっと上に行ける馬です」
一昨年の朝日杯FSで3着となり、昨年のアーリントンCを勝つなど、マイルでも結果を出してきたが、ここに来て、ス
プリンターとしての素質が完全に開花した。
(文:島田明宏)