■ワグネリアンに騎乗予定の福永祐一騎手

――札幌記念を振り返ってください。
福永　最終追い切りは札幌の芝で行いました。非常にいい動きで精神状態も体の調子も非常によかったのでレースを楽しみにしていたのですが。スタートもいつもより上手に出てくれましたし、その後もスピードのノリ、そこからの落ち着きなんかも今までにないかたちでレースを進めることが出来ていたので。3コーナーあたりではある程度勝利を確信できるくらいの手ごたえでいたんですけれども。

　最終コーナーを回るあたりで急に伸びることができなかったので、おかしいな、と思っていたんですけど。引き上げてきたとき、スタッフがすぐに「両前、鉄(蹄鉄)が外れています」と気づいてくれました。洋芝で蹄鉄が両前なければ、かかりも悪いですし。伸びることができなかったのはしょうがないかな、と。

　明確な敗因がありましたので、そう悲観する内容ではなかったのかな、と思います。成長がレース運びにあらわれていたと思います。精神的に前向き過ぎる、イレ込みやすいところが少しあるので。滞在競馬はそういった面でも良かったのでしょう。

――輸送しての競馬では、いかがでしょう？
福永　ダービーのときもパドックで落ち着いて歩いていたわけではないですし、多少カッカした中でも走り出せば全然問題ない馬ですから。多少のイレ込みについてこの馬は“いつものことだ”と思うくらい、気にしなくていいと思います。

――馬体についての成長は？
福永　後躯の入りというか、後躯がたくましくなりました。それにより、体の使い方のバランスが良くなったというのはありますね。だからスタートも上手に出れたのだと思います。いつも3コーナーから4コーナーの勝負どころでズブさをみせるところはあったんですけど、札幌記念はラクに回っていましたしね。馬は年齢を経て成長もしていますし、その成長がレースにいいかたちであらわれていますので。そのへんは厩舎としても狙ったようなかたちで来れているのではないでしょうかね。

――さて、1週前追い切りについて教えてください。
福永　馬体に関して太さとか緩さは感じなかったですね。ラクな感じで行っていたので、最後は正直もう少し弾けて欲しかったな、というのはあるんですけど。そのへんですかね。決して調子が悪いわけではないし体調は良さそうですけど、体の躍動感は前走時と比べると少し物足りないところはあったんで。でも、1週前だったのでそこについては強い刺激を与えておきました。ガツンとくる感覚…。そうですね、今週来てくれてればいいんですけど。

――東京競馬場では2戦2勝です。
福永　長く脚を使える馬なので。先ほども言いましたけどコーナーで少し置かれるところが若いころはあったので、直線の長いコースがいいというところですね。2戦しかしてないですけれども、違ったかたちでレースをしてくれましたし。回りに関しては右回りと左回りで特別な得手不得手があるとは思いませんけれども、直線が長いコースはあの馬にとってはいいんじゃないですかね。

――東京芝2000m、気をつける点は？
福永　スタートしてすぐにコーナーがありますので、どうしても内枠と外枠との有利不利が出るコースなので。当たった枠によって考えなければいけないことが違ってきますんで。枠が当たってから、ですね。

――内のほうが有利でしょうか？
福永　一概には言えないですけれども、外枠が圧倒的に不利なコースではあります。

――ダービーを獲ったワグネリアンという馬への想いは？
福永　思い入れの強い馬ですし、自分にとっては宝物のような馬です。第一は無事に競走生活を終えて欲しいな、というのがありますけれども。やっぱり、よりGIのタイトルをもっと一緒にとっていきたいと思っていますので。今回も一緒に頑張りたいと思っています。

　ケガで休養したとき以外はずっと手綱を取らせていただいていますし、先ほども言いましたように馬が成長して先行するかたちでも上手に走れるようになって、レースの幅がかなり広がりましたので。そういった中で迎える東京2000。彼にとってはベストなコースだと思います。

　特別、彼が修正しなければいけない点はほぼないので。あとはいかにタイトルを重ねていけるか、というところですね。前回は当然1着を狙っていましたけれども。出走する全レースで勝つことのみを意識していく段階になっていますのでね。今回、相手は非常に強力ではありますけれども、力を出し切れれば遜色のないレベルの馬だと思っています。コースとしてはベストコースだと思いますし、なんとかいい勝負ができるように頑張ってきたいと思います。

――最後にひとこと。
福永　順調に調教ができていますし、体調に関しては良さそうです。なんとか期待に応えられるようなレースをしたいな、と思っています。

(取材・文：花岡貴子)