藤沢師も「初戦から期待」というバルトリ(写真:竹之内元)
時が経つのは早いもので、いよいよ東京、京都の2019年開催最終週となる。それと同時に来年のダービーまでおよそ半年となった。
先週の東スポ杯2歳Sでコントレイルが我々に与えた印象は強烈だったが、それをさらに上回るような素質の持ち主がまだまだこれから現れるかもしれない。
【11月23日(土) 東京ダート1600m】
◆ミスターサンド(牡、父Tapit、母Smart Surprise、美浦・栗田徹厩舎)
昨秋のキーンランドセプテンバーイヤリングセールに上場され、山口功一郎オーナーが40万ドルで落札した。母はカナダの重賞ウイナー。半姉に北米で重賞3勝のMoonlit Promise、近親にCourt Vision(BCマイルなどG1を5勝)、A.P. Indy(米エクリプス賞年度代表馬)などがいる。スクミの症状が出たために予定を延ばしたが、先週の追い切りは格上の古馬(アントリューズ、マイネルハニー)を相手に3頭併せの真ん中で負荷を掛け、しっかりと追われた。「がさつな性格で走り方にも雑なところがあるけど、デビュー前としては十分に動けている。このひと追いでピリッとしてくると思う。スラッとした体形でゴリゴリのパワー型という感じではないけど、血統的にもダート向き。いい意味で気持ちの面には余裕があるし、しぶとく伸びるようなタイプだと思います」と栗田徹調教師。鞍上は田辺裕信騎手を予定している。
【11月24日(日) 東京芝1800m】
◆ソードライン(牡、父ジャスタウェイ、母メジロジェニファー、美浦・堀宣行厩舎)
昨年のセレクトセール(1歳セッション)に上場され、取引価格は7344万円。伯母にメジロサンドラ(オープン勝ちを含む5勝、日経新春杯3着)がいる。ゲート試験に合格後も在厩で乗り込み、先週の追い切りでは古馬の2勝クラスに先着。しっかりと追われ、迫力のあるフットワークで駆け抜けた。「500kgを超す大型馬で筋肉質の好馬体。調教の動きやフットワークの良さからも素質の高さを感じさせる。芝の中距離型だと思います」と森調教助手。鞍上はライアン・ムーア騎手を予定している。
◆バルトリ(牝、父ディープインパクト、母レディオブオペラ、美浦・藤沢和雄厩舎)
母はオープン勝ちを含む5勝、シルクロードS2着などスプリント戦で活躍した。異父姉のレディマクベスは昨秋の東京でデビュー勝ちを決めている。3代母のDanuta(父サンデーサイレンス)はUAEオークスの勝ち馬で、産駒のDevoteeも同じくUAEオークスを勝っている。配合的にはサンデーサイレンスの2×4のクロスを持つ。「ディープ産駒の牝馬らしく走る気持ちが強いタイプ。お姉ちゃんとは父が替わり、しなやかなフットワークをしている。いい馬だし、初戦から期待しています」と藤沢和雄調教師。鞍上はクリストフ・ルメール騎手を予定している。
◆モーソンピーク(牡、父ディープインパクト、母モシーン、美浦・国枝栄厩舎)
母は豪G1を4勝。2歳上の全姉に重賞2勝、ヴィクトリアマイル2着など活躍中のプリモシーンがいる。ゲート試験に合格後はノーザンファーム天栄で体力強化を図り、10月末に帰厩。先週の追い切りはウッドチップコースで古馬の2勝クラスを追走し、余力残しの手応えで無理に追わなくても水準以上の時計をマークした。「体質的に弱いところがあったけど、しっかりと動けるようになった。反応もいいし、総合的に高い点数を与えられる」と国枝栄調教師。鞍上はウィリアム・ビュイック騎手を予定している。
(取材・文:竹之内元)