三冠制覇の夢へ向け、JBC2歳優駿覇者ラッキードリームが始動(撮影:田中哲実)
リンゾウチャネルによるホッカイドウ競馬史上5頭目の三冠達成は、記憶に新しい一昨年のできごとである。今年は2歳ダートグレード競走の勝ち馬2頭が一冠目に顔を揃えた。レベルの高いレースが見込まれ、注目度はいち地方重賞の枠に留まるものではない。
門別内回りコースは、上級条件で特にスプリント戦に類似したラップバランスになる。よってこの重賞には、三冠戦線を見据える馬と、ここに勝負を懸ける短距離志向の馬が同居することになる。このレース単体で予想するとなれば後者を重視する見方もあるが、ラッキードリームが秘める三冠制覇の可能性に筆者は賭けてみたい。
叩き台を使わないぶっつけ本番という選択は、レースに対する真面目さゆえに一戦毎の負荷が大きくなりやすいこの馬の性格を踏まえ、それぞれ1ヶ月間隔で臨むことになる北海優駿、王冠賞をより万全に近い状態で走らせるために陣営が導き出した最善手であろう。
三冠の中で最も展開が激しくなりやすく紛れの多い北斗盃だが、非凡な身体能力と類まれな勝負根性でJBC2歳優駿を制したこの馬であれば、地力で捻じ伏せる競馬ができると判断する。ここさえ勝てば、三冠馬の称号がグッと現実味を帯びてくる。
対抗格筆頭は僚馬リーチだ。こちらは前哨戦を挟み、ここに本番を据えたローテーションである。左回りだが、コーナー4つの競馬を鎌倉記念でクリアしている点は強調できる。スピードと機動力を兼備しており、内回り適性は高く見積もっていい。
実績を考えれば当然、ソロユニットも主役級の1頭である。ただ、昨年から陣営の悩みのタネであった馬体のパンプアップという課題が、シーズン初戦の前走で芽を出していた。能力の違いで勝利したが、エーデルワイス賞の走りには程遠い。中間の調教強度を上げたことが馬体と走りにどう繋がるか。今後を占う一戦となる。
以下、成長力顕著も外回り向きのオタクインパクト、上位馬に実績では劣るがマイルは得意なテイクアターンまでを抑え評価とした。
(文:競馬ブック・板垣祐介)