【名馬】本田師、カワカミプリンセス秘話「手ごたえがないのに追えばあんなに伸びる馬はいない」/ねぇさんのトレセン密着

2021年10月16日 10:12

プロテクターをつけてカワカミプリンセスの手入れをする深川助手(撮影:花岡貴子)

 今週、ちょうど本田師とすれ違ったので「あ! カワカミプリンセスがウマ娘に実装されたんですよ!」と報告。トレセンの皆さんの多くは「ウマ娘 プリティーダービー」のゲームの存在は知っています。わたしは意識的にそういう話題を出しますが、大抵、その話題は秒殺で終わりますね(苦笑)。ダウンロードはしたけど、そのままっていうのが一番よく聞きます…。今浪さんはやってるみたいですけど、かなりレアケースかな。

 かつてカワカミプリンセスの主戦だった本田師も「へー」という程度の反応だったのですが、カワカミプリンセスの思い出話には花が咲きました。

「デビュー前はゲートも遅いし、反応も悪い。でも、気がきつくてうるさい。デビュー戦も人気になる要素がなかった(9番人気)し、こちらも大丈夫かな? と挑んだんだけど。あのレースはポンとゲートを出たんだ。そのあとはフラフラと物見したりしていたけど、そのまま逃げ切り勝ち。2戦目(君子蘭賞)はゲートは出遅れて後ろからの競馬になって、3コーナーでの手ごたえも悪くて、『大丈夫かな?』って思ったけど追ったら伸びた。でも、手ごたえはないんだよ。それでも追えば伸びるんだよね」

 カワカミプリンセスの現役時代、ジョッキーだった本田師が「僕も理解できない強さ」「未知の馬」と話していたのは、過去のどの馬にも当てはまらない"手ごたえのなさ"にあったようです。

「手ごたえがないのに追えばあんなに伸びる馬はいない。どの馬にも当てはまらない。3コーナーあたりで『勝った』と思ったレースは早めに上がっていったオークスくらい。エリザベス女王杯では3コーナーでは『ダメだ』『負けたな』としか思えなかった。それでも、手ごたえなくても追えば伸びるからジョッキーとしては追うしかないんだ。それから、秋華賞で4コーナーで内からぶつけられて外にふられたけど怯まなかったように、根性というか、気の強さもホント凄かったよ」

 しかし、その気の強さから日常の扱いがホント大変そうでした。

「厩務員さんや助手さん、装蹄師さんはホント大変だったと思うよ。担当者は洗い場でプロテクターつけてたもんね(苦笑)」

 実際のその様子がこちらの写真。以前、netkeibaでの連載コラムに掲載した写真ですが、確かに深川助手、プロテクターつけてます。普通、プロテクターは調教に騎乗するときだけ装着し、手入れの時は外すんですけど。いかに普段からカワカミプリンセスを扱うのが大変だったかがうかがい知れます。

 ウマ娘のカワカミプリンセスも結構な暴れん坊キャラで、ゲーム内のストーリーで壁に穴を空けて怒られていますが、それはnetkeibaの過去記事で紹介したカワカミプリンセスが洗い場で穴を空けた話を読んでくれたのかもしれませんね。

 カワカミプリンセスのいた西浦厩舎は本年2月末で解散し、担当だった深川助手は四位厩舎へいきました。時の流れを感じます。

(取材・文:花岡貴子)

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