昨年覇者のオーソリティが1番人気になりそうだが…(撮影:下野雄規)
今週は秋のGI連続開催も小休止。
そのかわりに重賞が4レース設定されている。土曜日には2歳戦の芝重賞、ファンタジーS(GIII・阪神芝1400m)と、京王杯2歳S(GII・東京芝1400m)のふたつ。そして日曜日にはダート重賞のみやこS(GIII・阪神ダート1800m)と、ハンデ重賞アルゼンチン共和国杯(GII・東京芝2500m)である。
そのなかから、後にGIでも好走馬を出すステップレースとしても重要になっているGII戦アルゼンチン共和国杯に焦点を絞り、今回も過去10年データから馬券&レース傾向を探っていく。
1 アルゼンチン共和国杯は意外に堅い?
ハンデ戦の長距離戦ということで、荒れるイメージがあるアルゼンチン共和国杯なのだが、ここ10年は意外にもさほど荒れていない。
まず「馬連」では万馬券が一度もない。最高で昨年の6680円が最高である。「3連複」では万馬券以上だったのが10年間のうち3回だけ。3連複で30倍台というのがなんと5回もあるのだ。そして「3連単」でも10万円超えしたのが昨年のたった1度だけ。あとは8万円台以上さえ出ていない。
どうやら荒れるイメージは、【東京・GII・芝2500m・ハンデ戦】という同条件を持って馬券は例年荒れている「目黒記念」に引っ張られていただけ。アルゼンチン共和国杯は堅くいくのが近年の正攻法だ。
2 1番人気馬が決して強いわけじゃない?
馬券が荒れない、となると1番人気が強いレースというのが常。
しかしアルゼンチン共和国杯では、過去10年で1番人気馬はわずか2勝。成績としては【2-2-1-5】である。馬券圏内キープ率はちょうど5割。先週の天皇賞秋のようにダントツで強い1番人気ではないのだ。
だが、補完作用というような感じで、1番人気が走らなかった年はキッチリ2番人気か3番人気どちらかが馬券圏内になっている。上位人気3頭全部バッサリというような馬券はかなり危険なのだ。
3 3歳馬が強い傾向だけど?
昨年は3歳馬のオーソリティ(当時ハンデは54キロ)が3番人気ながら1着となった。出走中、唯一の3歳馬が勝ったわけだ。
それ以前も、17年スワーヴリチャード1着&セダブリランテス3着。15年レーヴミストラル3着など、出走している年はほぼ3歳馬が活躍する傾向あり。今年も3歳馬が出ないかなと思っていると1頭もなしでかなり残念な気分になった。
では逆に、過去10年、3歳馬の出なかった年はどういう傾向があったのだろう?
3歳馬不在の年は20、17、15年以外の7年。4歳馬5勝・5歳馬1勝・6歳馬2勝。あまり偏った傾向というのは出ていない。しかしこれにプラスして、ハンデにも焦点を当てると傾向らしきものがわずかながら見えてくる。
1着馬のハンデは、55キロ馬1勝・56キロ馬4勝・57キロ馬1勝・58キロ馬1勝で、斤量は最低でも55キロ以上が必須ということ。実際2着馬にもその傾向があり、こちらも55キロ以上が必須。軽ハンデ馬は良くても3着なのだ。3歳馬のいない今年。1&2着馬狙いはハンデ55キロ以上が狙い目なのかも?
4 枠番・東西・偏りのないレース?
さらに過去10年の傾向で、枠番はほぼフラット。1枠&4枠に1着馬が出ていないだけで、あとはどの枠番も満遍なく馬券になっている。
今年は牝馬が出ていないが、過去10年で牝馬は馬券圏内になっていない。関東&関西もほぼ同等の成績。奇数偶数番に偏りはない。
あるとすればペース。明らかに前半3ハロンが速く、後半のスタミナ勝負になることが多い。逃げた馬の残り目はかなり厳しく、先行勢からの抜け出しできるタイプが有利になりやすい。ただ今年は逃げたいタイプもいないので、展開が大きくカギを握るだろう。
(netkeiba編集部)