昨年度優勝馬エンパイアペガサス(提供:岩手県競馬組合)
岩手競馬を1年間牽引してきた古馬が勝つか、それともこれからの岩手競馬を背負う3歳馬が勝つか。ファン投票による選出が行われることもあって、歴代の勝者にはその年の岩手競馬の顔となった馬達の名前が刻まれてきた桐花賞。昨年は古馬の代表格ヒガシウィルウィンと3歳馬の代表格フレッチャビアンカが人気を集める中、3番人気の古豪エンパイアペガサスが優勝。岩手競馬歴代最多となる重賞17勝を挙げて特別表彰を受けた。今年は、これを最後に種牡馬入りすることが発表されたそのエンパイアペガサスが有終の美を飾ることになりそうだ。
前走の北上川大賞典ではスタートでやや掛かったものの、前目のポジションを自ら動いていく競馬で2着レールガンに1秒9の大差勝ち。開催の無かった2019年を挟んで、史上3頭目となる同レース3連覇を達成した。6月にもみちのく大賞典を3年ぶりに制したように2000mを越える距離での安定感は健在。右回りに若干の不安はあるが、今年のメンバーなら主役と考えていい。ここを勝てば重賞20勝の偉業を達成。悲願だった年度代表馬も見えてくる。レース後に行われる引退式では、数多くの手土産を抱えてファンの前に現れてくれることだろう。
相手筆頭はヒガシウィルウィンだ。前走トウケイニセイ記念では出脚がつかず、後方からの競馬となったが、差しの届く馬場を味方につけて最後はしっかりと先頭でゴール。改めて能力の高さを証明した。昨年のような時計のかかる馬場になるとやや分が悪くなるだけに、ここ数日の降雪が心配だが、春に比べて状態も良くなっており、エンパイアペガサスの2着に敗れた昨年のリベンジを果たしたいところだ。
この2頭に続くのは、高知競馬から移籍して岩手競馬初出走となったトウケイニセイ記念を3着に好走したツクバクロオーだ。昨年の高知県知事賞では、高知競馬最強馬スペルマロンに負けはしたものの、3着以下に6馬身以上の差を付けて2着。2000mへの距離の延長に不安はない。一度使った上積みにも期待ができる。
もう1頭選ぶとすればゴールデンヒーラーを選びたい。3歳牝馬路線の頂点に立ち、不来方賞ではマツリダスティールに逃げ切り勝ちを許したものの、二冠馬リュウノシンゲンを抑えて2着に食い込む牡馬顔負けの走りを見せてくれた。ここ2戦は同僚ファイントリックに先着を許したが、53kgの軽量を活かしてファン投票4位に応える走りをしてくれることを期待する。
(文・森内智也)
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