大晦日恒例の高知県知事賞は年に一度の2400mが舞台。今年の1着賞金1600万円はJpnIII黒船賞を除く最高額であり、一年を締めくくるに相応しいビッグレースだ。通算3勝のウォーターダグ、2勝のマルカイッキュウ、リワードレブロン、グランシュヴァリエ等、距離が距離だけにリピーターが多い点が特徴のひとつ。現在、高知競馬の誘導馬として活躍しているチャオも4年連続で出走し、2017、18年に連続2着するなど高い距離適性を示した。
近年は比較的、平穏な決着が続いているが、2015年には3連単47万円強の大波乱。エプソムアーロン、メイショウツチヤマといった短距離指向の面々が人気を背負っていたことや外差しが決まる馬場傾向が大きな要因だったが、最後方から大外を豪快にマクった11頭立ての単勝10番人気ブランクヴァースの勝利は今尚、語り草となっている。鞍上の西森将司騎手は重賞初制覇。表彰式では、弟子の快挙に涙を流す別府真司調教師の姿も見られた。
今年はどのようなドラマを見せてくれるか楽しみだが、やはり注目は何と言ってもスペルマロンだろう。3月のJpnIII黒船賞7着以降は重賞6勝を含む負けなしの9連勝中。今年は高知競馬での獲得賞金1億円、全距離での重賞制覇、二桁重賞勝利など、いくつもの「初」を達成し、押しも押されもせぬ高知競馬の看板ホースとして君臨している。高知県知事賞は現在、2連覇中。3勝したウォーターダグは3連覇ではないだけに、スペルマロンが勝てばまた新たな「初」となる。
さて難しいのがスペルマロンの相手探し。今年の3歳2冠馬ハルノインパクトは前走、スペルマロンの7着だったが、同馬と同斤量の58キロを課せられスタートも大きく出遅れと参考外の一戦。初対戦だった準重賞アドミラブル賞では同馬の2着と善戦しており、今回は当時と同斤量で出走できる点は大きい。
珊瑚冠賞、黒潮マイルCSでスペルマロンの2、3着と善戦しているクラウンシャインは距離が延びれば延びるほどいいタイプ。2400mの舞台でその差を詰めることができるか注目される。
黒潮マイルCSでクラウンシャインに先着したスコルピウス、距離適性の面ではグリードパルフェ、モーニングサン、ネルソンタッチ等の台頭も見込めるかもしれない。大晦日は水沢、大井、笠松、園田と開催される全ての競馬場で重賞が組まれているが、高知県知事賞も是非、期待して頂きたい。
(文・風間恒一)
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