美浦Wの3頭併せで力強い走りを披露したイクイノックス(右)
「天皇賞(秋)・G1」(30日、東京)
木村厩舎が強力な3歳2枚看板で盾獲りを狙う。皐月賞&ダービーでともに2着の
イクイノックスは26日、美浦Wの3頭併せで優勢な走り。絶妙なさじ加減で調整を施され、思惑通りに準備は進んでいる。また、皐月賞馬
ジオグリフも栗東から駆け付けた福永を背に、抜群の仕上がりを誇示した。
大一番を前にしても、普段通りの調整を貫いた。木村厩舎の3頭併せは、決まって真ん中に最も負荷をかけたい馬を配す。その定型通り、
イクイノックスは美浦Wで3頭縦列の中央から駆けだした。
4角までは
ジャングルキング(4歳2勝クラス)、
サファル(4歳1勝クラス)と1馬身ずつの隊列を丁寧に保って折り合いに専念。直線はきれいな3頭横並びとなり、出し過ぎず、緩め過ぎずの微妙なさじ加減で、6F86秒8-38秒6-11秒5と力強く駆けた。前者と併入、後者には1馬身先着だ。木村師は「スタッフにはいつも通りの追い切りをしましょうという話をしました。今のところ順調に来ていると思います」と、思惑通りの調教に納得の表情だ。
前走のダービーは2着。師は「まず馬に申し訳なかった。ファンにもルメールさんにも、支えてくれる皆さまに本当に申し訳なかったという気持ちは消えない」と頭を下げる。一方、熱く火のついた心も隠さなかった。「本馬場入場のファンの声援に本当に感激しました。苦しい中で仕事をしてきて、結果は出なかったけど報われた瞬間だったと思います。あの日のファンに喜んでもらおうと誓いました」。春は皐月賞、ダービーとも悔しい銀メダル。だからこそ、この秋はリベンジの季節にしたい。
3冠目の菊花賞をパスしての盾挑戦。指揮官は「競馬のパフォーマンスに比して、そんなに丈夫ではない。現状、勝つための調教を強いなければならないとすると、結果に対する代償が非常に大きいと思い、2000メートルを秋のスタートにさせていただきたい」と説明。続けて「結果、ルメールさんがやり切ったと思えるように持っていきたい。ここから日曜まで、その時点の最善手を淡々と積み重ねていく。その全力をお約束します」と意気込んだ。オーナー、関係者はもちろん、ファンにも誠実に向き合いつつ、決戦の日まで歩を進める。