移転開設50周年を記念して「うまてなし」という独自のおもてなしを行う佐賀競馬。この地で騎手時代に5000勝以上を挙げ、「キングシャーク」の愛称で親しまれた鮫島克也氏は昨年11月で騎手を引退し、今年2月に調教師として厩舎初出走を迎えました。名手はどのようにして厩舎の船出を迎え、現在に至るのか、伺いました。
(取材・構成:大恵陽子)
◆佐賀に女子大生がやってきた!? ◆
──厩舎を開業時にはTwitterでスタッフの募集などを行っていましたが、どんな方が来てくれたんですか?
鮫島 東京から女子大生が応募してくれました。
──なんと! いきなりのパワーワード。
鮫島 僕も「なんで!? 」と思いましたけど、動物が好きみたいです。大学を卒業して4月から働いてくれています。真面目で、仕事にちょっと時間はかかるけど綺麗に丁寧にやってくれます。他に開業時に17歳で東京から来てくれた子や騎乗経験のあるインド人もいて、みんな和気あいあいとやっています。
──つい1年前まではバリバリにレースに乗っていた鮫島調教師ですが、いまも調教には乗っているんですか?
鮫島 7〜8頭乗っています。深夜2時から始めるのはジョッキー時代とそんなに変わらないけど、終わる時間が遅くなりました。ジョッキー時代は調教する馬だけ乗ったらサッと帰れたけど、調教師になるとそうはいきませんからね。生活リズムは変わりました。
──そんな中、南関東から移籍のエルピーダがこの夏4連勝を果たしました。
鮫島 うちに来た時は400kgもない小柄な牝馬で、ニンジンや大根、リンゴなど色々食べさせようとするんですけど、なかなか食べてくれませんでした。でも、トビがいいので、走るんじゃないかなと思っていました。
──今週末には九州大賞典が行われます。騎手時代に7勝を挙げた重賞ですが、2500m戦はどんな特徴がありますか?
※名称変更前の「サラブレッドグランプリ」時代を含める。ただし、サラブレッド限定戦ではない1997年を除く。
鮫島 持久力のある馬が2500mは強いです。トビは大きい方がよくて、脚質はジリっぽい方が佐賀の場合は意外と強いように思います。
──最後に、鮫島調教師にとって「うまてなし」とは何ですか?
鮫島 ジョッキーが安心して乗れる完調な馬を出走させることです。自分で調教に乗って歩様や息遣い、癖を把握して、レースで好勝負できる馬を走らせる、という点はジョッキー時代とほとんど変わらないですが、調教師になって馬がエサをどのくらい食べているかを朝夕に見て、それによって翌日の調教をどのくらいするかを考えることができます。そして、結果的にファンのみなさまにいいレースをお見せできるかなと思います。
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佐賀競馬場では今週20日、九州大賞典が開催されます。1着馬には来年2月の佐賀記念JpnIIIへの優先出走権が与えられる一戦。かつて鮫島克也調教師も騎乗した古豪・グレイトパールが3連覇中で今年も出走予定のほか、昨年の東北優駿馬リュウノシンゲン、中距離重賞3勝のドゥラリュールなどが出走予定です。
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