京都記念で復活、夢は世界へ ラヴズオンリーユーの活躍を振り返る

2023年02月11日 19:30

2019年の京都記念で復活を果たしたラヴズオンリーユー(c)netkeiba.com

 2月12日(日)に阪神競馬場で行われる京都記念(4歳上・GII・芝2200m)。古くはタケシバオーやテンポイントが制し、近年ではブエナビスタやクロノジェネシスなど数々の歴史的名馬が勝利を挙げてきた一戦。21年のこのレースで復活の狼煙を上げ、世界へと羽ばたいたのがラヴズオンリーユーだ。
 
 ラヴズオンリーユーは父ディープインパクト、母ラヴズオンリーミー、母の父Storm Catという血統。全兄に16年のドバイターフを制したリアルスティールがいる。

 世界での活躍は約束された運命だったのかもしれない。奇しくも兄リアルスティールがドバイの地でG1初制覇を飾った3月26日にラヴズオンリーユーは誕生。セレクトセール1歳牝馬の史上最高価格となる1.6億円で落札され、兄と同じ矢作芳人厩舎に入厩した。

 18年11月にデビューを迎えると“物が違う”と云わんばかりのワンサイドな走りで3連勝。さすが良血馬とファンや関係者に言わしめる。続くオークスでは重賞初挑戦の身でありながら1番人気で出走しレースレコードで優勝。無敗で樫の女王に輝き、誰しもが先々の活躍を確信したことだろう。しかし現実はそう甘くない。

 秋初戦のエリザベス女王杯で3着に敗れ連勝記録はストップ。翌年3月のドバイ遠征では、現地入り後に開催中止の憂き目に遭うなど、歯車が噛み合わぬ期間は1年以上続いた。気づけば6連敗。3冠を分け合ったグランアレグリアとクロノジェネシスがGIで活躍する一方、長いトンネルから抜け出せずいた。

 明けて5歳になったラヴズオンリーユーは復活を期して京都記念に出走。鞍上には新たに川田将雅騎手を迎え、来たる海外遠征に向けて必勝態勢で挑んだ。ダービー馬ワグネリアンや宝塚記念3着馬モズベッロら手強いメンバーが揃う中、ファンはラヴズオンリーユーの再起に単勝1.8倍という期待をかけた。

 ゲートが開くと近2走とは一転して先行策を取り、逃げ馬を見ながら3、4番手。最終コーナーあたりから仕掛けると、じわじわ伸びて直線はダンビュライトやステイフーリッシュとの叩き合いとなった。2頭もしぶとく食い下がったが、残り100mで競り落とすと、最後は1.3/4馬身差を付けてゴール。1年9カ月ぶりに輝きを取り戻した。

 この勝利で再浮上へのきっかけを掴んだ彼女は世界に羽ばたく。ドバイSCでは惜しくも3着だったが、香港のクイーンエリザベスII世Cを勝利。秋には日本馬初のBC制覇、暮れには香港Cと、海外G1・3勝の大偉業を達成した。年が明けて22年1月に東京競馬場で引退式が行われ、その2週間後には米国の年度代表馬表彰(エクリプス賞)で最優秀芝牝馬を受賞。京都記念の勝利をきっかけに“世界の名牝”へと昇華したラヴズオンリーユーは、数々の伝説を残してターフを去った。

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