◆フェブラリーS追い切り(15日、栗東トレセン)

　今年のG1開幕戦、第40回フェブラリーS・G1(19日、東京)の最終追い切りが15日、東西トレセンで行われた。ドライスタウトは戸崎が2週連続で栗東を訪れての騎乗。熱の入った調整で勝負気配を感じさせた。

　銀世界の中、黒鹿毛の馬体がど迫力で突き進んだ。ドライスタウトは戸崎を背に、栗東・坂路でハッピースワニー(4歳3勝クラス)を追走。残り約200メートル地点で並ぶと、軽く促された程度で瞬時にギアを上げた。吹雪もどんと来いの豪快なフットワーク。54秒1―12秒8で首差先着し、鞍上は「前走よりも反応が良くなった。ピリッとした」と満足げに振り返った。

　才能あふれる相棒のためなら2週連続の“輸送”もいとわない。1週前追い切りに続いて、戸崎は美浦から駆けつけた。この日は厩舎からまたがって状態を確認。「期待していた馬でG1に臨めるということに、すごくわくわくしている」。コンビ6戦目で迎える大舞台に、胸を高鳴らせた。

　順風満帆ではなかった。無傷の3連勝で全日本2歳優駿を制したが、3歳初戦の兵庫CSのレース中に爪を故障し、半年間休養。9月の帰厩当初も万全の状態ではなかったが、「調教を積めば積むほど良くなってきた。休ませて筋肉の硬さが取れた」と牧浦調教師は説明。入念な調整で復帰戦の霜月Sを勝った。すばるSは直線で詰まり、首差の2着に敗れたが、しまいの脚を生かす形で新味を披露。戸崎は「次につながるレースができた。いい経験になった」と敗戦を糧にするつもりだ。

　7戦目でのVとなれば、G1に昇格した1997年以降、モーニン(16年)とカフェファラオ(21年)の最少キャリア勝利記録に並ぶ。最大のライバルは根岸S覇者のレモンポップ。戸崎自身が主戦を務めていただけに「本当にいい馬に乗せていただいていた。うれしく思うし感謝したい」と話すが、「そのなかで、今回は1着でゴールできたらさらにうれしい」と勝利を譲るつもりはない。将来性豊かな4歳馬が、並み居る強敵をまとめて蹴散らす。(水納　愛美)