◆第67回阪急杯・G3(2月26日・芝1400メートル、阪神競馬場)
昨年は3月の落馬で左足のかかとを骨折した影響で、30勝止まりだった団野大成。「復帰してからも体は動いていたのですが、なかなか勝てなかった」と、6月に復帰後、初勝利には2か月を要した。「休んでいる間にお手馬も減ってしまいました」。けがをした騎手が直面する問題に苦しんだ。
しかし、チャンスは突然訪れた。12月の中日新聞杯でのG1勝ち馬
キラーアビリティの騎乗依頼だ。しかも、団野が所属する斉藤崇厩舎の馬だ。Cデムーロが騎乗停止で代役に指名された。「後ろからの競馬になりましたが、攻めて乗ろうと思っていました」と言うように、狭いスペースを割って出ると末脚を生かして差し切ってみせた。「先生からは、よく我慢して乗ったと言われました」と自厩舎では初めてだった重賞3勝目をうれしそうに振り返った。
今年はここまで7勝を挙げ、比較的順調のように映るが、もちろん満足はしていない。同期の岩田望(現在19勝)の存在が大きいからだ。「望来とは、小さい頃から一緒に馬に乗っているので、負けたくないという思いがあります。今すぐ追いつくのは難しいけど…。でも、それが今の
モチベーションになっています」とラ
イバル心を燃やした。
G1には9回挑戦して、21年阪神JF(
ラブリイユアアイズ)で2着があるが、「2着では意味がないですし、もちろん今すぐにでも勝ちたいですよ」。阪急杯では
グレイイングリーンに騎乗する。テン乗りだが、「(調教では)口が強くて色々と注文がつくけど、道中で息を入れられたら」とイメージはできている。22歳の若者はチャンスを生かし、ラ
イバルの背中を追いかけながら、大舞台を目指していく。(山下 優)
◆団野 大成(だんの・たいせい)2000年6月22日、滋賀県生まれ。22歳。19年3月に栗東・斉藤崇史厩舎からデビュー。JRA通算179勝。21年日経新春杯(
ショウリュウイクゾ)での初制覇を含む重賞3勝。趣味はゴルフ、釣り。161・7センチ、47・4キロ。血液型A。同期に栗東の岩田望、亀田、斎藤、美浦の大塚、小林凌、菅原明。