◆第41回中山牝馬S・G3(3月11日、中山競馬場・芝1800メートル、良)
第41回中山牝馬S・G3は11日、中山競馬場で行われ、2番人気の
スルーセブンシーズが初富士S(3勝クラス)からの連勝で重賞初制覇を飾った。手綱を執ったクリストフ・ルメール騎手(43)=栗東・フリー=はオーシャンS(
ヴェントヴォーチェ)に続く2週連続の重賞V。同馬とのコンビは3戦3勝と相性の良さを印象づけた。
道中は中団に構え、4角手前から抜群の手応えで外を進出。直線坂下での
ゴーサインに応えて前を行く
ストーリアをあっさりとパスすると、力強く末脚を伸ばして1馬身1/4差をつけてゴールを駆け抜けた。「楽勝でした。最後もまだ
パワーが残っていたので上のクラスでもいけると思います」と鞍上も絶賛の完勝劇。ルメールにとっては日本の初G1制覇でコンビを組み、9日にこの世を去ったハーツクライに送る弔い星ともなった。
今後の視界が大きく開ける一勝。尾関調教師は「いろんな意味で実が入ってきて、先週から時計が速かったのでどれぐらい対応できるかと思っていたんですが杞憂(きゆう)に終わりました」と完成の域に入った愛馬に目を細めた。今後は「いろんな選択肢があると思います」と語るにとどめたが、視野に入るのはヴィクトリアマイル(5月14日、東京)など。着実に力を蓄えた5歳牝馬が、満を持してG1奪取へと向かう。(石行 佑介)
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スルーセブンシーズ 父
ドリームジャーニー、母マイティースルー(父クロフネ)。美浦・尾関知人厩舎所属の牝5歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算11戦4勝。総獲得賞金は1億264万8000円。重賞初勝利。馬主は(有)キャ
ロットファーム。
〈ルメール騎手「天国のハーツにありがとうの気持ちを伝えたいです」〉
○…ハーツクライとのコンビで05年有馬記念などを制したルメールが発表から一夜明けた11日、中山競馬場で取材に応じた。「かわいそう。日本で初めてG1を勝てたし、本当に特別な馬」と、沈痛な面持ちでコメント。自らの競馬人生を変えた名馬に、「天国のハーツにありがとうの気持ちを伝えたいです」と感謝の言葉を紡いだ。